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無口な小日向さんは、なぜか俺の胸に頭突きする

著者:心音ゆるり



誰も声を聴いたことがないと噂されるほどに無口な美少女・小日向さん。自販機の前で困っている彼女を助けたのだけど、それ以来、何か距離が近い気がする。相変わらず無口だけれども、そんな彼女に俺、杉野智樹も何か癒されて……
……と書いてみたんだけど、文字通り、そんな話なんだよな……。いや、悪い評価とか、そういう意味ではなくて。
実のところ、ちょっと設定としては重めだったりはする。小学校時代、クラスの女子たちと対立し、ありもしない悪評を立てられ、苦労をしたという過去を持つ智樹。そのトラウマもあり、女子と話をするのが苦手となってしまった。だからこそ、小日向さんを助けたのも、苦手だけど仕方がない、というような感じ。ところが、なぜか小日向さんに懐かれてしまった。そんなとき、過去の悪評もあってクラスメイトの冴島さんに詰められたりもしたものの、誤解が解け、親友の景一も加わって、4人で一緒に行動をすることに。
帯に『阿波連さんははかれない』の阿波連さんが描かれているのだけど、そちらのアニメを見た後に読むと、余計に似ている印象は受ける。どちらも基本的に無口キャラ。でも、じゃあクールなのか、と言えばそんなことはなく、態度やら何やらで感情は読み取れる。しかも、まるで懐かれているかのように接してくるし、しかも時には強引に甘えてきたりもする。相変わらず女子は苦手。けれども小日向さん相手ならば、気負わずに済む。一方で、そんな小日向さんも現在のような無表情になったのには理由があって……
互いに色々とつらい過去などを抱えている二人が、不器用だけれども交流を続ける中で少しずつ変わっていく、という様は素直にかわいらしかった。二人を見守る冴島さん、景一もまたすごい良い奴ら、だしね。
ただ、この巻の段階だと、まだ智樹は保護者的な目で小日向さんを見ている状態なんだよな。小日向さんの方は……と感じられるだけに、そこから更なる進展があるのかな、というところに期待。

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Tag:小説感想角川スニーカー文庫心音ゆるり

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