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海鳥東月の『でたらめ』な事情4

著者:両生類かえる



秋、何やら様子のおかしなでたらめちゃん。料理店を出してみてはどうか、という東月の提案に対しても何か反応がおかしい。それでも一見、平和な日々。だが、そんな平和な日々を破壊すべく、泥帽子一派の魔の手は静かに忍び寄ってきていて……
シリーズ完結編……なのだけど、何ともいえない終わり方だなぁ……。せめて、もう1巻欲しかった。
冒頭に書いたように、何やら様子のおかしなでたらめちゃん。そんな東月の元へと忍び寄る泥帽子一派の幹部たち。そして、その中で、でたらめちゃんがどういう風に生まれたのか? そして、東月の事情はどのようにして生まれたのか? というのが語られることに。
とにかく、この泥帽子という存在が、何ともいえないキャラクターで魅力的。とにかく、面白いならば何でもよい、という思考をする男。そのため、以前には東月と奈良の喧嘩をカウンセラーとして解決して見せたり、はたまた、東月の過去にもかかわっていたり……。さらに、その一派の幹部たちもまた、癖のある面々ばかりで、その行動に東月たちは翻弄されていく。ただし、一枚岩、というわけではなく、過去にも因縁のある清涼院綺羅々は東月に協力を申し出る。そんな状況で、泥帽子は、泥帽子カップなるものの実行を宣言する……
シリーズ第1巻の、冒頭の設定であった嘘がつけない少女・東月と、嘘しか言えず、しかし、嘘を食べることができるでたらめちゃん。ある意味では、その二人の関係性というところから始まった物語が、再び、そこへ戻ったという印象。勿論、その中で、嘘を現実にしてしまえば、それは嘘ではない、という部分も含めて。その意味では、この物語の根本となるところは一つの決着となったのかな? という風に思う。
ただ……
泥帽子一派が、ある意味では自滅というようなリスクを負っても、その欲望などをかなえるための「泥帽子カップ」の開幕を宣言したところで、一気に場面が飛んで、東月とでたらめちゃんのやりとりで終わり……という物語の終わり方はちょっと不完全燃焼感が残るな。なんだかんだと追いかけていたシリーズだけに、ちょっとこの終わり方は悔しい。

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Tag:小説感想MF文庫J両生類かえる

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