著者:小路幸也
ニューヨーク市警失踪人課に勤める警察官・ダンの元に一人の少年・サミュエルが訪れる。「ペギーがいなくなった」 かつて、地下でホームレス同然の暮らしをしていた仲間・ペギーを探す二人だったが、ペギーは自ら死を選んでいた。そんな彼女の持っていたキーホルダーにダニエルはふと何かを思う。一方、日本人CGクリエイターの巡矢は、友人の写真家・かんなの撮った写真に写った、いなかったはずの少女について調べ始める…。
一応、『
HEARTBEAT』の続編に当たる作品。ただ、そちらを読んでいなくとも、それほど問題はないように思う。
今作も物語は二つの視点で展開。警察官の父を尊敬し、同じようにマジメに、誠実に職務をこなすダン。そんな彼が追う少女の自殺の真相。その背後に見え隠れする性的虐待の疑惑、養子縁組と言う制度…。一方の巡矢の探す少女は、そんなダンの失踪した姉。誠実だったはずのダンの父親に対して深まっていく疑惑…。
小路さんの作品は、比較的、「優しい」雰囲気に溢れている作品が多いのだが、そんな小路さんの作品にあって残酷な結末を迎える。性的虐待であるとか、人の死であるとか、そういうものが含まれ、そして、そこでダンに突きつけられる事実は、大きな傷痕になるようなもの。ただ、そこで終わらないのが、本作の良いところ。厳格な「正義」とはいえない。無色透明な決着でもない。でも、清濁を飲み込んで、それでも一歩を、と言うラストシーンは力強さを与えてくれる。そこが印象的。
面白かった。
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テーマ : ブックレビュー - ジャンル : 小説・文学
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