著者:小西マサテル


かつて小学校の校長を務めていた祖父は71歳となった現在、幻視や記憶障害を伴った認知症を患い、介護を受けて暮らす日々。小学校の教師である孫娘の楓は、そんな祖父を心配して、祖父の元へと通っている。そんな楓が、身の回りで起こった奇妙な出来事を語ると、祖父の知性はよみがえって……
という連作短編集。全6編を収録。
第21回『このミス』大賞・大賞受賞作。
物語としては、冒頭の粗筋に書いたように、主人公である楓が、身の回りで起きたことを祖父へと話す。そうすると、認知症である祖父の様子が変わりさえた推理を披露する。ただ、その際には、小学校の校長らしく、その材料からどういうことが考えられるか? という問いかけと、その推理の穴を指摘しながら真相へ、という形をとっている。
こういう形だと、普通は殺人のような犯罪行為は描かれないことが多いのだけど、本作では結構、血なまぐさい事件が起きているな、というのが特徴かな?
1編目『緋色の脳細胞』。愛好する評論集を古書店から手にした楓。だが、その評論集を開いてみると、そこにはその評論家の訃報を告げる新聞記事などが挟まっていて……。このエピソードが一番、日常の謎的なエピソードかな? 多分、古書店で書籍を購入した人には、こんなにぴったりとしたもの、ではないけれども、思わぬものが挟まっていた、なんて経験をした人は多いと思うし。多少、ジェンダーバイアス的なものを感じる謎解きではあるのだけど、日常の謎であればこれで良いだろうし。
謎の魅力という意味では、3編目『プールの人間消失』。一学期最後のプールの授業中、その授業を担当していた女性教師が突如、消えてしまった。終業を告げる挨拶。そして、教師がプール内を点検するために飛び込んだ音は聞こえたものの、その後、彼女は浮かび上がってくることがなく失踪。さらに、何らかのトリックで消えたとしても、学校近くの防犯カメラなどにも彼女が通った形跡がなくて……
人間消失、というのは本格モノの定番ではあるのだけど、文字通りの衆人環視状態で、なおかつ学校のプールという今度は開放感のある場所から、というのがまず印象的。そして、その謎解きはちょっとした仕掛けなどが取り込まれており、その盛りだくさんっぷりが楽しかった。まぁ、これで解決するのか? と言われるとちょっと疑問を覚えたことはあるのだけど。
そんな中で、楓に対するストーカー事件などが起こり……で、まとめられていく。
ただ、それぞれのエピソード。楓の身の回りで不可思議な出来事が起きるのだけど、その際に、楓の同僚である岩田、岩田の後輩・四季と言った面々とのやり取りが挟まって……という部分が挟まるので、ちょっと回りくどいかな? と思ったところはあったかな? と……
No.6605

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この記事は、「新・たこの感想文」に掲載するために作成したものです。
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かつて小学校の校長を務めていた祖父は71歳となった現在、幻視や記憶障害を伴った認知症を患い、介護を受けて暮らす日々。小学校の教師である孫娘の楓は、そんな祖父を心配して、祖父の元へと通っている。そんな楓が、身の回りで起こった奇妙な出来事を語ると、祖父の知性はよみがえって……
という連作短編集。全6編を収録。
第21回『このミス』大賞・大賞受賞作。
物語としては、冒頭の粗筋に書いたように、主人公である楓が、身の回りで起きたことを祖父へと話す。そうすると、認知症である祖父の様子が変わりさえた推理を披露する。ただ、その際には、小学校の校長らしく、その材料からどういうことが考えられるか? という問いかけと、その推理の穴を指摘しながら真相へ、という形をとっている。
こういう形だと、普通は殺人のような犯罪行為は描かれないことが多いのだけど、本作では結構、血なまぐさい事件が起きているな、というのが特徴かな?
1編目『緋色の脳細胞』。愛好する評論集を古書店から手にした楓。だが、その評論集を開いてみると、そこにはその評論家の訃報を告げる新聞記事などが挟まっていて……。このエピソードが一番、日常の謎的なエピソードかな? 多分、古書店で書籍を購入した人には、こんなにぴったりとしたもの、ではないけれども、思わぬものが挟まっていた、なんて経験をした人は多いと思うし。多少、ジェンダーバイアス的なものを感じる謎解きではあるのだけど、日常の謎であればこれで良いだろうし。
謎の魅力という意味では、3編目『プールの人間消失』。一学期最後のプールの授業中、その授業を担当していた女性教師が突如、消えてしまった。終業を告げる挨拶。そして、教師がプール内を点検するために飛び込んだ音は聞こえたものの、その後、彼女は浮かび上がってくることがなく失踪。さらに、何らかのトリックで消えたとしても、学校近くの防犯カメラなどにも彼女が通った形跡がなくて……
人間消失、というのは本格モノの定番ではあるのだけど、文字通りの衆人環視状態で、なおかつ学校のプールという今度は開放感のある場所から、というのがまず印象的。そして、その謎解きはちょっとした仕掛けなどが取り込まれており、その盛りだくさんっぷりが楽しかった。まぁ、これで解決するのか? と言われるとちょっと疑問を覚えたことはあるのだけど。
そんな中で、楓に対するストーカー事件などが起こり……で、まとめられていく。
ただ、それぞれのエピソード。楓の身の回りで不可思議な出来事が起きるのだけど、その際に、楓の同僚である岩田、岩田の後輩・四季と言った面々とのやり取りが挟まって……という部分が挟まるので、ちょっと回りくどいかな? と思ったところはあったかな? と……
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