著者:支倉凍砂


勤めていたデザイン会社が吸収合併され、デザイナーの夢に破れた加乃。愛媛県松山市に祖母が残した一軒家へ引っ越した彼女の前に現れたのは、伏見から流れてきた家出狐の佐助。神通力で、デザイナーになりたいという加乃の夢を叶えようとする佐助だったが、そこに土地の竜神・龍姫が現れ、四国は狸の支配する土地で、稲荷狐とバレたら命はない、と言われ……
途中までは、人外の存在である佐助、龍姫、さらに、狸社会の閉鎖的な様子にうんざりしてやはり家出をしてきた狸の千代。4人(?)でのわいわいとした生活……という感じだったのだけど、やっぱり著者らしい展開にもっていくんだな……という感じに。
人間に化けることができる、佐助だけど、言動は小学生レベル。龍姫は土地神ではあるけど、父から代替わりしたばかりで力がない。そして、狸社会が嫌になった千代。千代は、それなりの経験とかを持っているけど、それぞれ脛に傷を持つ身。そんな4人でのドタバタな生活が始まるのだけど、そんな中、大きな地震が起こり、その中で佐助は、危ない状態になった人を神通力を使って助けることに。だが、余所者が神通力を使った、ということが狸社会で大きな問題となってしまって……
伏見の狐社会でいじめにあい、四国へとやってきた佐助。だからこそ、伏見へは帰りたくない。しかし、四国にいると……。一方で、神通力を使ったとはいえ、人助けという善行を行ったにも関わらず、それを問題視する狸社会の頑迷さ。さらに、その自身で大きな打撃を受けた松山城の修復を巡り、利権やら何やらを巡って遅々として何もできない狸社会(と、そこに繋がっている地元政界)……。
なんか、この辺り、狸社会とかってことで軽くしてあるけど、田舎の事情そのものだな、という感じ。地元の有力者の派閥があって、政治やら何やらも、その意向に左右される。勿論、その中には年功序列のようなシステムもあって、若者だとかが声を上げようにも上げられず……。作中のコレは、その中でも極端に描いているのだろうけど、それでも一端と言えば一端だと思う。だからこそ、千代なんかは反発をするし、龍姫は肩身の狭い思いをするし……。そういう部分をうまく、ライトに切り取っている感じがした。
その中で加乃が現状打破のために取ったのは……。最後は、神通力とか、そういうもので上手く行きすぎな部分もあるにはあるのだけど、その状況を打破する、というのがファンタジー込みで、スカッとする部分があるのかもしれない。
No.6620

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この記事は、「新・たこの感想文」に掲載するために作成したものです。
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勤めていたデザイン会社が吸収合併され、デザイナーの夢に破れた加乃。愛媛県松山市に祖母が残した一軒家へ引っ越した彼女の前に現れたのは、伏見から流れてきた家出狐の佐助。神通力で、デザイナーになりたいという加乃の夢を叶えようとする佐助だったが、そこに土地の竜神・龍姫が現れ、四国は狸の支配する土地で、稲荷狐とバレたら命はない、と言われ……
途中までは、人外の存在である佐助、龍姫、さらに、狸社会の閉鎖的な様子にうんざりしてやはり家出をしてきた狸の千代。4人(?)でのわいわいとした生活……という感じだったのだけど、やっぱり著者らしい展開にもっていくんだな……という感じに。
人間に化けることができる、佐助だけど、言動は小学生レベル。龍姫は土地神ではあるけど、父から代替わりしたばかりで力がない。そして、狸社会が嫌になった千代。千代は、それなりの経験とかを持っているけど、それぞれ脛に傷を持つ身。そんな4人でのドタバタな生活が始まるのだけど、そんな中、大きな地震が起こり、その中で佐助は、危ない状態になった人を神通力を使って助けることに。だが、余所者が神通力を使った、ということが狸社会で大きな問題となってしまって……
伏見の狐社会でいじめにあい、四国へとやってきた佐助。だからこそ、伏見へは帰りたくない。しかし、四国にいると……。一方で、神通力を使ったとはいえ、人助けという善行を行ったにも関わらず、それを問題視する狸社会の頑迷さ。さらに、その自身で大きな打撃を受けた松山城の修復を巡り、利権やら何やらを巡って遅々として何もできない狸社会(と、そこに繋がっている地元政界)……。
なんか、この辺り、狸社会とかってことで軽くしてあるけど、田舎の事情そのものだな、という感じ。地元の有力者の派閥があって、政治やら何やらも、その意向に左右される。勿論、その中には年功序列のようなシステムもあって、若者だとかが声を上げようにも上げられず……。作中のコレは、その中でも極端に描いているのだろうけど、それでも一端と言えば一端だと思う。だからこそ、千代なんかは反発をするし、龍姫は肩身の狭い思いをするし……。そういう部分をうまく、ライトに切り取っている感じがした。
その中で加乃が現状打破のために取ったのは……。最後は、神通力とか、そういうもので上手く行きすぎな部分もあるにはあるのだけど、その状況を打破する、というのがファンタジー込みで、スカッとする部分があるのかもしれない。
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