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ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 外伝 ソード・オラトリア13

著者:大森藤ノ



人造迷宮クノッソスでの事件を完全制圧したロキ・ファミリア。平穏が取り戻されった迷宮都市だったが、その戦いで仲間の喪失を経験したレフィーヤは、力を求め、過酷な研鑽を開始する。そんな彼女を心配するファミリアの面々。そんなとき、レフィーヤは、3年ぶりにやってきた「学区」へと派遣されることとなって……
先日、本編の19巻を読んだときに、久々、と書いたけれども、こちらの『ソード・オラトリア』シリーズはさらに久々。何しろ3年半ぶり。
前巻で、物語としては一区切り、という感じだったので、物語としてはちょっとカラーが変わったかな、という印象。
前巻までの人造迷宮を巡る物語で、大切な仲間を喪ったレフィーヤは、自らを鍛えるために修行を開始する。それは、文字通りに我武者羅。アイズら、仲の良い冒険者ではなく、一番、容赦がないであろうベートに修行を頼み、文字通りボロボロになりながらの鬼気迫る修行。しかし、その姿は、かつてのアイズ、いや、それ以上に危ういものを感じさせる。そんなところで、ロキから、「学区」への派遣を命じられる。
学区。それは、巨大な船に作られた学校のような施設。レフィーヤ自身が、そこで育ち、冒険者としてロキ・ファミリアへと加入することとなった場所。その故郷と言える施設での役割は、有望な若者のスカウトと、そこでの指導役。レベル2,レベル3の学生たちを集めた「第7小隊」の指導をすることになって……
この作品に、学校的なものがある、という設定にまずちょっと驚いた。その上で、この作品における「レベル3」というのは決して弱い存在ではない。それこそ、本編のベルにしても、レベル3まで来たときは、かなり「強くなった」という感じだったし。なので、冒険者としての能力は折り紙付きではある。けれども、学校という場で鍛えてきた若者たちは当然、実戦経験というものが不足していて……。何があってもおかしくない、という迷宮の現実を知らない。冒険者の常識というものがまだ把握できていない。自分自身のレベルなどを過信してしまっている。そんな学生たちとのやり取り。そこでレフィーヤが思い出すのは、過去の自分たちが陥った苦い思い出。そして、その時と同じように……
当然、最後には危機が訪れて……という展開になっていくわけだけど、今回は、新章の開始というような位置づけで、かつ、レフィーヤ自身についてスポットを当てた話ということもあって比較的、ライトな印象。実力不足の第7小隊の面々はいるけど、レベル4というレフィーヤがいて、危機を知ったロキ・ファミリアの面々も救助に向かっている、という状況があるから、前巻までのような絶望的な感じはないだけに。その中で、レフィーヤが自身の向かうべき場所を見出した、ということを描きたかった巻なのだろうな。何やらあとがきでは、その裏で……ってのがあるみたいだけど。
その上で……修行相手をベートに奪われたアイズの真っ白な姿がかなり面白かった。

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Tag:小説感想GA文庫大森藤ノ

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