著者:小林湖底


無事、常世からむるナイト帝国への期間を果たしたコマリたち。皆、それぞれの日常へと戻っていく……はずだったが、平穏な日常はやってこなかった。そんなコマリたち周辺での出来事を描く短編集。
あとがきで、「つなぎ」の巻という風に書かれているけど、まさにそんな感じの巻。
1編目『リオーナ・フラットの起死回生』。常世から戻ってきたコマリ。今のところ、コマリが動くようなことは起きていないので、休暇……と思いきや、契約魔法により、3か月に一度はエンタメ戦争をしなければ死んでしまう。そんなとき、獣人の国、ラペリコ王国のリオーナ中将から宣戦布告が届く……
ラペリコ王国は、エンタメ戦争ではいつも負けてばかりの「噛ませ犬」国家と呼ばれる国。当然、ムルナイト帝国のコマリの部隊の敵ではない。しかし、そんな状況を打破すべくリオーナから突きつけられた宣戦布告には特別ルールつき。それは、「裂核解放禁止」、さらに3対3のチーム戦。裂核解放をしなければ弱いコマリにとって不利な条件。時期的に戦争をしなければ、死亡してしまうし、コマリの真相を知らない部下たちは、コマリの力を示すためにもと乗り気になってしまう。そんな絶体絶命の戦争がはじまり……
というのが、コマリ側の話。一方で、リオーナは、というと、ラペリコ王国の現状に悩んでいる。脳筋そのものの将軍や、やる気のない将軍。世間からは「噛ませ犬」扱いで、でも、故郷では期待の星と呼ばれるギャップ。だからこそ、この戦いには勝ちたい……。そんな中で……
このオチが一番、平和的な解決ということになるんだろうな。コマリとしては、完全に命拾い、というところだったわけだけど。
個人的に好きなのは4編目『サクナ・メモワールの暗中模索』。コマリのことを常に追いかけているサクナ。だが、そのせいで仕事をしていないと、同じ七紅天でヘルデウスにより「コマリ絶ち」を命じられてしまう。しかも、それが出来ているかを確認するため、サクナの前に七紅天だったメイジーをそばにつけられてしまって……
コマリと話をできるのは一日10秒だけ。まぁ、毎日、何時間も話をして……というのは、そりゃ、支障がでるよな……。コマリもコマリで、サクナの様子がおかしい、と困惑しているし。その一方で、サクナが育った孤児院では、院のヒーローとしてサクナは慕われており、子供たちに大人気。そんな中、その孤児院の子供を人質にとる存在が現れて……
コマリ視点の話でも、ちょっとアレなところを見せていたサクナの(本来の)日常。彼女の人気。だからこそ、コマリ絶ちをすることでより強調される。そして、事件の中で見せたサクナの正義感と、コマリ絶ちを行わせたメイジーの本当の目的。サクナ視点で、ずっと意地悪なイメージだったけど、こいつもまた良い奴なんだな、というのを感じるエピソードだった。
No.6623

にほんブログ村
この記事は、「新・たこの感想文」に掲載するために作成したものです。
他のブログなどに、全文を転載することは許可しておりません。
「新・たこの感想文」以外で全文を転載したブログ等がありましたら、それは著作権を侵害した違法なものとなります。
無事、常世からむるナイト帝国への期間を果たしたコマリたち。皆、それぞれの日常へと戻っていく……はずだったが、平穏な日常はやってこなかった。そんなコマリたち周辺での出来事を描く短編集。
あとがきで、「つなぎ」の巻という風に書かれているけど、まさにそんな感じの巻。
1編目『リオーナ・フラットの起死回生』。常世から戻ってきたコマリ。今のところ、コマリが動くようなことは起きていないので、休暇……と思いきや、契約魔法により、3か月に一度はエンタメ戦争をしなければ死んでしまう。そんなとき、獣人の国、ラペリコ王国のリオーナ中将から宣戦布告が届く……
ラペリコ王国は、エンタメ戦争ではいつも負けてばかりの「噛ませ犬」国家と呼ばれる国。当然、ムルナイト帝国のコマリの部隊の敵ではない。しかし、そんな状況を打破すべくリオーナから突きつけられた宣戦布告には特別ルールつき。それは、「裂核解放禁止」、さらに3対3のチーム戦。裂核解放をしなければ弱いコマリにとって不利な条件。時期的に戦争をしなければ、死亡してしまうし、コマリの真相を知らない部下たちは、コマリの力を示すためにもと乗り気になってしまう。そんな絶体絶命の戦争がはじまり……
というのが、コマリ側の話。一方で、リオーナは、というと、ラペリコ王国の現状に悩んでいる。脳筋そのものの将軍や、やる気のない将軍。世間からは「噛ませ犬」扱いで、でも、故郷では期待の星と呼ばれるギャップ。だからこそ、この戦いには勝ちたい……。そんな中で……
このオチが一番、平和的な解決ということになるんだろうな。コマリとしては、完全に命拾い、というところだったわけだけど。
個人的に好きなのは4編目『サクナ・メモワールの暗中模索』。コマリのことを常に追いかけているサクナ。だが、そのせいで仕事をしていないと、同じ七紅天でヘルデウスにより「コマリ絶ち」を命じられてしまう。しかも、それが出来ているかを確認するため、サクナの前に七紅天だったメイジーをそばにつけられてしまって……
コマリと話をできるのは一日10秒だけ。まぁ、毎日、何時間も話をして……というのは、そりゃ、支障がでるよな……。コマリもコマリで、サクナの様子がおかしい、と困惑しているし。その一方で、サクナが育った孤児院では、院のヒーローとしてサクナは慕われており、子供たちに大人気。そんな中、その孤児院の子供を人質にとる存在が現れて……
コマリ視点の話でも、ちょっとアレなところを見せていたサクナの(本来の)日常。彼女の人気。だからこそ、コマリ絶ちをすることでより強調される。そして、事件の中で見せたサクナの正義感と、コマリ絶ちを行わせたメイジーの本当の目的。サクナ視点で、ずっと意地悪なイメージだったけど、こいつもまた良い奴なんだな、というのを感じるエピソードだった。
No.6623

にほんブログ村
この記事は、「新・たこの感想文」に掲載するために作成したものです。
他のブログなどに、全文を転載することは許可しておりません。
「新・たこの感想文」以外で全文を転載したブログ等がありましたら、それは著作権を侵害した違法なものとなります。
スポンサーサイト