著者:杉井光


新学年を迎え、気になるクラス替え。PNOの4人は全員、同じクラスに。伽耶も入学してきて、ますます学園生活に、音楽活動にと忙しい日々を送ることになった真琴。だが、そんな裏で、彼は深刻なスランプに陥っていた……
と、スランプ状態の真琴の周囲で起こる出来事を描いた連作短編みたいな構成の話になっている巻だな、という感じ。
まず、序盤は、部活紹介でPNOに演奏をしてほしい、と軽音部から頼まれるエピソード。当然、PNOは軽音部じゃないし、それは断ることに。だが、そんな軽音部の事情を知り、さらに自身の気分転換もかねて、その部活紹介のプロデュースを行うことに……。5分程度という短い時間しかない中、真琴が選んだ方法は……
作中で真琴自身が言っているんだけど、バンドと部活動っていうのはあまり相性が良くない、っていうのはあるんだろうと感じる。同じ音楽系の部活である合唱部とか、吹奏楽部とかは、大集団でのチームプレイが基本。では、バンドは? 5人とか、6人くらいの少人数。しかも、ギターとか、ベースとか、ドラムとか各バンドに必要なピースとかがあり、その人員の取り合いが始まってしまう。短い時間での出番の場合、部員全員が……ともいかない。それは、新入部員を勧誘する場合には、ハードルとなってしまうことも。そんな状況を逆手に取った方法というのは、なるほどな、と感じた。
中盤は、今度は、真琴たちの恩師・華園先生を巡る話。入院生活から、新生活へと移った華園先生。とはいえ、かつてと比べれば激やせしてしまい、日常生活も車いす生活という華園先生。だが、そんな彼女が、ピアノコンクールに出場する、という。そんなコンクールに凛子も参加する、ということになり……
家族関係の中で、ピアノを辞めたとはいえ、音楽活動そのものは続けている凛子。しかし、学生の部ではなく、一般の部。それだけを見れば凛子が有利とも見えるが……。バンドなどとは違い、しっかりと順位がつけられるクラシックのコンクールの世界。そこにはセオリーなども。そんな蘊蓄と、そんな病み上がりという状況であっても、「恩師」としての貫禄を見せつける華園先生の存在感と、二人の演奏を見た真琴の判断というのに、真琴、凛子、華園先生の関係性というのが感じられた。
そして、いよいよPNOのライブが迫る中、ダブルブッキングが発生。そもそもが、PNO側が承諾していないにも関わらずのものなので、キャンセルしたところで問題はない。だが、そのトラブルの元と言われる相手は知己のある存在。そんな状況で真琴は、双方での参加を言い出して……。前の部活紹介もそうだけど、真琴がお人よし過ぎる気はする。ただ、そんな無茶苦茶な策をとったことで、一つの区切りをつけて……
短編集みたいな形ではあったのだけど、その分、音楽活動に囲まれた真琴の日常というのが上手く描かれた巻のように感じた。
No.6629

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この記事は、「新・たこの感想文」に掲載するために作成したものです。
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と、スランプ状態の真琴の周囲で起こる出来事を描いた連作短編みたいな構成の話になっている巻だな、という感じ。
まず、序盤は、部活紹介でPNOに演奏をしてほしい、と軽音部から頼まれるエピソード。当然、PNOは軽音部じゃないし、それは断ることに。だが、そんな軽音部の事情を知り、さらに自身の気分転換もかねて、その部活紹介のプロデュースを行うことに……。5分程度という短い時間しかない中、真琴が選んだ方法は……
作中で真琴自身が言っているんだけど、バンドと部活動っていうのはあまり相性が良くない、っていうのはあるんだろうと感じる。同じ音楽系の部活である合唱部とか、吹奏楽部とかは、大集団でのチームプレイが基本。では、バンドは? 5人とか、6人くらいの少人数。しかも、ギターとか、ベースとか、ドラムとか各バンドに必要なピースとかがあり、その人員の取り合いが始まってしまう。短い時間での出番の場合、部員全員が……ともいかない。それは、新入部員を勧誘する場合には、ハードルとなってしまうことも。そんな状況を逆手に取った方法というのは、なるほどな、と感じた。
中盤は、今度は、真琴たちの恩師・華園先生を巡る話。入院生活から、新生活へと移った華園先生。とはいえ、かつてと比べれば激やせしてしまい、日常生活も車いす生活という華園先生。だが、そんな彼女が、ピアノコンクールに出場する、という。そんなコンクールに凛子も参加する、ということになり……
家族関係の中で、ピアノを辞めたとはいえ、音楽活動そのものは続けている凛子。しかし、学生の部ではなく、一般の部。それだけを見れば凛子が有利とも見えるが……。バンドなどとは違い、しっかりと順位がつけられるクラシックのコンクールの世界。そこにはセオリーなども。そんな蘊蓄と、そんな病み上がりという状況であっても、「恩師」としての貫禄を見せつける華園先生の存在感と、二人の演奏を見た真琴の判断というのに、真琴、凛子、華園先生の関係性というのが感じられた。
そして、いよいよPNOのライブが迫る中、ダブルブッキングが発生。そもそもが、PNO側が承諾していないにも関わらずのものなので、キャンセルしたところで問題はない。だが、そのトラブルの元と言われる相手は知己のある存在。そんな状況で真琴は、双方での参加を言い出して……。前の部活紹介もそうだけど、真琴がお人よし過ぎる気はする。ただ、そんな無茶苦茶な策をとったことで、一つの区切りをつけて……
短編集みたいな形ではあったのだけど、その分、音楽活動に囲まれた真琴の日常というのが上手く描かれた巻のように感じた。
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