著者:石川博品


東京都沖津区……そこは、国民的アイドルグループLEDに反旗を翻す女子高生アイドルたちが鎬を削る街。高校に入学し、寮生活を始めた吉貞ナズマは、その寮が沖津アイドルたちの根拠地となっていることを知る。だが、音楽が奇妙な幻に見えるナズマにとって、アイドルというのは好きになれない存在であった。一方、その寮で暮らす尾張下火(あこ)は、学校一の美少女・グンダリアリーシャとアイドルユニットを組むことになるのだが……
本書が刊行されたのが2016年なので、AKBとかが人気だったころ(今だって人気だ、と言われれば人気だけど)に、それとは別ベクトルのアイドルを中心に描いた、ということになるのかな? 物語冒頭、寮に入ったナズマが、幼馴染のクニハヤと再会。そして、そのクニハヤは、国民的な人気アイドルLEDはクソだ、と言い放つ辺りから始まってくるだけに。そして、ナズマは、下火たちと出会い、それまで音楽が意味不明な幻というものを克服し、下火たちのマネージャーになることに……
アイドルと言っても芸能事務所とかがついているわけではない。色々なことはすべて自分で、というインディーズバンドとか、そんな感じでの活動開始。バンドモノであるように、他のアイドルとの争いがあったりとかしながら活動を始めていくのだが、当の下火にはある秘密があって……
「いまやれ!早くやれ!うまくなるのを待ってないでやれ!」
というのが、この作品の何よりものテーマだ、というのはよくわかる。それこそ、LED、そのモデルだろうと思われるAKBグループ。はたまたジャニーズとかもそうだけど、アイドルとして活動をする前に候補生とか、そういう下積みの集団が沢山いる。けれども、そうやって選ばれた者だけがなる存在なのか? そんなことに対するカウンターというか、そういのを感じる。特に物語終盤、下火の正体とかが判明してからは、余計にそれを感じる。
ただ、当時の著者の作風と言えばそうなのだけど、結構、作中に当時の時事ネタ的なギャグを入れてきたり、はたまたセリフの中に()を使ってのツッコミが入るとかかなり独特の文章になっていて、ちょっと文体に慣れるのに苦労したな、という感じがある。最近の作品の合間を縫って、昔の作品を読んでいる、という状況だけど、自分は最近の作品の方が好きだな、というのを認識した、なんて風に思った。
No.6632

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この記事は、「新・たこの感想文」に掲載するために作成したものです。
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本書が刊行されたのが2016年なので、AKBとかが人気だったころ(今だって人気だ、と言われれば人気だけど)に、それとは別ベクトルのアイドルを中心に描いた、ということになるのかな? 物語冒頭、寮に入ったナズマが、幼馴染のクニハヤと再会。そして、そのクニハヤは、国民的な人気アイドルLEDはクソだ、と言い放つ辺りから始まってくるだけに。そして、ナズマは、下火たちと出会い、それまで音楽が意味不明な幻というものを克服し、下火たちのマネージャーになることに……
アイドルと言っても芸能事務所とかがついているわけではない。色々なことはすべて自分で、というインディーズバンドとか、そんな感じでの活動開始。バンドモノであるように、他のアイドルとの争いがあったりとかしながら活動を始めていくのだが、当の下火にはある秘密があって……
「いまやれ!早くやれ!うまくなるのを待ってないでやれ!」
というのが、この作品の何よりものテーマだ、というのはよくわかる。それこそ、LED、そのモデルだろうと思われるAKBグループ。はたまたジャニーズとかもそうだけど、アイドルとして活動をする前に候補生とか、そういう下積みの集団が沢山いる。けれども、そうやって選ばれた者だけがなる存在なのか? そんなことに対するカウンターというか、そういのを感じる。特に物語終盤、下火の正体とかが判明してからは、余計にそれを感じる。
ただ、当時の著者の作風と言えばそうなのだけど、結構、作中に当時の時事ネタ的なギャグを入れてきたり、はたまたセリフの中に()を使ってのツッコミが入るとかかなり独特の文章になっていて、ちょっと文体に慣れるのに苦労したな、という感じがある。最近の作品の合間を縫って、昔の作品を読んでいる、という状況だけど、自分は最近の作品の方が好きだな、というのを認識した、なんて風に思った。
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