FC2ブログ

(書評)家日和

著者:奥田英朗

家日和家日和
(2007/04)
奥田 英朗

商品詳細を見る


「家」を舞台とした作品6編を収録した短編集。
「前向きになれる」 こんなフレーズを私は良く使う。そして、本作の作品はそれぞれ、登場人物が物凄く前向き。読んでいて、まず、それを感じる。
勤めていた会社が倒産した裕輔。妻は働きに出て、自分に対しては様々な慰めの、励ましの言葉を受ける。けれども、妻も本人も、その新しい生活が楽しい。目下の目標は、息子が全部食べてくれる弁当を作ること…と言う『ここが青山』。
妻が家を出てしまい、家具も持っていってしまった。それを機に、自分好みの家具を集め、自分にとって居心地の良い空間を作る正春。同僚にも羨ましがられ、たまり場になっていく『家においでよ』も、状況を全く悲観していない、実にポジティヴな物語。
また、思いつきで職を転々とする夫に苦労しながら、何故か、その転機になると自らも成長できているイラストレーター春代を描いた『夫とカーテン』。
それぞれ、一般的な、日本的な価値観から考えれば「どうしようもない」と言う状況なのに、それぞれ実に前向き。ネットオークションに嵌っていく主婦・紀子を描いた『サニーディ』の気持ちの良い終わり方から始まって、実に温かい気分になる作品になる。
こういう風になると、「ちょっと毒のある作品もほしいな」などと思えてくる。そうすると、最後の1編『妻と玄米御飯』が活きる。文学賞を受賞したことで売れっ子になった作家・大塚の妻が嵌ったのはロハス、オーガニックの活動。大塚自身はそれに懐疑的であるし、不満もある。けれども、それがいえない。「ロハス」「オーガニック」などに対する皮肉と共に、それが言い出せない大塚に対する皮肉という二重の毒が効いている。けれども、そんな状況でもラストシーンは、何か「ほっ」とする。
前向きになれる、というか、ほっとできる。そんな作品のように思う。

通算1306冊目

にほんブログ村 本ブログへ



http://xxxsoraxxx.blog11.fc2.com/blog-entry-556.html
http://pochikun99.blog40.fc2.com/blog-entry-299.html
http://1iki.blog19.fc2.com/blog-entry-225.html
http://neteoki.blog7.fc2.com/blog-entry-377.html
スポンサーサイト



COMMENT 4

きりり  2008, 07. 08 [Tue] 03:17

いや~この本読んでたの忘れてました 絶対読んでないと思ってたら読んでましたね~ ちょっとほのぼの過ぎる本かな~とか思っていたら以外と面白かったです 

Edit | Reply | 

そら  2008, 07. 08 [Tue] 11:20

たこやきさん,おはよっ♪

>それぞれ、一般的な、日本的な価値観から考えれば「どうしようもない」と言う状況なのに、それぞれ実に前向き。

そうそう,そこが一番いいところ!ですよね~。
読んでいて,何やら分からんけど元気になった作品でしたo(^▽^)o

Edit | Reply | 

たこやき  2008, 07. 09 [Wed] 19:52

きりりさんへ

全体的には、ほのぼの、と言う感じありますよね。
でも、そんな中でも良くある状況だとかが上手く描写されていて、さすがだな、という風に思いました。

Edit | Reply | 

たこやき  2008, 07. 09 [Wed] 19:54

そらさんへ

前向きになれる、というか、皆、前向きで「それで良いんだ」と思わせてくれる作品ですよね。
弁当作りにハマって、息子に全部食べさせるのを目標、とかって、凄くやりがいがありそうだな、と想いました。

Edit | Reply | 

TRACKBACK 4

この記事へのトラックバック
  •  家日和 奥田英朗
  • 装丁は大久保伸子。写真は本城直季。 「小説すばる」2004年9月号から2006年12月号までの不定期掲載に加筆修正した短編集。 1...
  • 2008.07.08 (Tue) 03:32 | 粋な提案
この記事へのトラックバック
  •  「家日和」奥田英朗
  • ひさびさの奥田さん。 やっぱりいいわ~、この人♪ ★★★☆☆ ネットオークションにはまる専業主婦。会社が倒産し、主夫となる営業マン...
  • 2008.07.08 (Tue) 11:18 | 日だまりで読書
この記事へのトラックバック
  •  家日和
  • 家日和奥田 英朗 (2007/04)集英社 この商品の詳細を見る <ストーリー> ネットオークションにはまる専業主婦。会社が倒産し、主夫となる営...
  • 2008.07.11 (Fri) 19:35 | 寝ていられるのになぜ起きる?
この記事へのトラックバック
  •  奥田英朗『家日和』
  • 家日和奥田 英朗集英社このアイテムの詳細を見る 今回は、奥田英朗『家日和』を紹介します。本書は家庭にフォーカスを当てた短編集です。何かあるあると思わず言ってしまうようなものばかりですね。全体的に女性に優しい感じがしますね。一番良かったものは妻と玄米御飯?...
  • 2009.02.10 (Tue) 00:19 | itchy1976の日記