著者:西尾維新


父である初代怪盗フラノールが盗み出したものを返却している2代目フラノールこと、あるき野道足。今回、彼が返却を狙うのは、金沢の職人が作った金の書籍。ページが緊迫で作られたそれは、再現不能であり、読むこともままならないもの。道中、名探偵・虎春花と一緒になるということがあったものの、辿り着いた先で知ったのは、その本の製作者が不可解な死を遂げており、さらにその妻もまた……ということだった……
シリーズ第2作。
粗筋には「怪盗ミステリー」と書かれているけど、ミステリー色は大分弱めだな、という印象。
物語の設定としては、冒頭に書いた通りなのだけど、物語シリーズよろしく、各編で、登場人物との会話劇を続け、その中で情報を集めていくと同時に、宿敵となってしまった弟・怪人デスマーチとも対峙することになっていく。そして、その中で、製作者は同じ名前を襲名すること。本の製作者である先代は奇妙な死を遂げており、現在は養子が跡を継ぎ敏腕の「経営者」として金箔生産の事業を拡大していること、などが判明していく。そんな中、その2代目も顔に金箔をはられて殺される、という死を遂げ……
その死の真相、犯人を探る……というのが物語の主題となるのだけど、前巻に続いて、親子関係、名を継ぐ、とか、そういうものが主題だな、と感じる。
主人公の道足は、父が怪盗として数多くのモノを盗んできた、ということを知り、その返却を至上命題としている。それは、父のことを否定し、同時に自らの存在意義を確認するための行為。一方で、弟は、道足とは別に、怪人デスマーチとして裏の家業を継ごうと……。一方、本の製作者である一族の中では……
名前を継ぐ、ということは、その職業を継ぐ、というだけでなく、名声であるとか、評判であるとかを継ぐ、ということ。それは、一般的には、その職業において普通の人よりも良いスタートを切れる、という風に言える。しかし、受け継ぐためには、それにふさわしい修行などが必要になるし、評判を受け継ぐということは、悪評などもまた……。落語とか、歌舞伎とかで、同じ名前を襲名する、ということの意味というのをどうしても意識してしまう。まぁ、ここで描かれるものは、流石にエンタメ作品だからこそ、だろうけど、一端は持っているんじゃないかと思う。
あと……
著者の作品のキャラクター名って読みづらいのだけど、今作のキャラクターたちはいつになく読みづらい名前ばかりだった。……なので、省略しちゃった……
No.6635

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この記事は、「新・たこの感想文」に掲載するために作成したものです。
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父である初代怪盗フラノールが盗み出したものを返却している2代目フラノールこと、あるき野道足。今回、彼が返却を狙うのは、金沢の職人が作った金の書籍。ページが緊迫で作られたそれは、再現不能であり、読むこともままならないもの。道中、名探偵・虎春花と一緒になるということがあったものの、辿り着いた先で知ったのは、その本の製作者が不可解な死を遂げており、さらにその妻もまた……ということだった……
シリーズ第2作。
粗筋には「怪盗ミステリー」と書かれているけど、ミステリー色は大分弱めだな、という印象。
物語の設定としては、冒頭に書いた通りなのだけど、物語シリーズよろしく、各編で、登場人物との会話劇を続け、その中で情報を集めていくと同時に、宿敵となってしまった弟・怪人デスマーチとも対峙することになっていく。そして、その中で、製作者は同じ名前を襲名すること。本の製作者である先代は奇妙な死を遂げており、現在は養子が跡を継ぎ敏腕の「経営者」として金箔生産の事業を拡大していること、などが判明していく。そんな中、その2代目も顔に金箔をはられて殺される、という死を遂げ……
その死の真相、犯人を探る……というのが物語の主題となるのだけど、前巻に続いて、親子関係、名を継ぐ、とか、そういうものが主題だな、と感じる。
主人公の道足は、父が怪盗として数多くのモノを盗んできた、ということを知り、その返却を至上命題としている。それは、父のことを否定し、同時に自らの存在意義を確認するための行為。一方で、弟は、道足とは別に、怪人デスマーチとして裏の家業を継ごうと……。一方、本の製作者である一族の中では……
名前を継ぐ、ということは、その職業を継ぐ、というだけでなく、名声であるとか、評判であるとかを継ぐ、ということ。それは、一般的には、その職業において普通の人よりも良いスタートを切れる、という風に言える。しかし、受け継ぐためには、それにふさわしい修行などが必要になるし、評判を受け継ぐということは、悪評などもまた……。落語とか、歌舞伎とかで、同じ名前を襲名する、ということの意味というのをどうしても意識してしまう。まぁ、ここで描かれるものは、流石にエンタメ作品だからこそ、だろうけど、一端は持っているんじゃないかと思う。
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著者の作品のキャラクター名って読みづらいのだけど、今作のキャラクターたちはいつになく読みづらい名前ばかりだった。……なので、省略しちゃった……
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