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2008/07/10 (Thu) 23:30
(書評)追伸

著者:真保裕一

追伸追伸
(2007/09)
真保 裕一

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山上悟と、妻・奈美子。ギリシアへ単身赴任をしている悟と、事故での入院のあった奈美子は、離婚問題へと発展する。互いの主張を綴った手紙のやり取りの中、奈美子の祖父と、その妻の手紙でのやりとりがわかり…
まず、この作品を特徴付けるのは、全編が手紙と言う形式になっている、と言う点。3部構成になっており、第1部が、悟と奈美子の離婚に向けての手紙のやりとり。第2部が、奈美子の祖父母・誠治と春子のやりとり。第3部が、その過去のやりとりを見た後の悟と奈美子と言う構成。
手紙と言う一方方向で想いを綴るメディアでのやりとり。とにかく感情的に、一方的に想いを綴っていただけの悟と奈美子。そんなところで見つかった、奈美子の祖父の手紙。
元々、祖母の過去について口をつぐんでいた奈美子の親族たち。そこに綴られていたのは、祖母・春子が元々、色町にいたこと。そして、ある殺人事件の容疑者として逮捕されていたこと。事実を隠しながら、別れを切り出した春子。そんな春子の無実を信じながら、真実を探り、そして、そこに向き合った誠治…。
片足が不自由である、と言うハンデを抱え、それでも、いや、それ故に誠実であろうとした誠治。しかし、そんな誠治の持つ欺瞞性。そして、そんな誠治に対する春子の想いと秘密。事実を知って、それでも誠実な誠治。第2部の二人のやり取りは実に印象的。丁度、第1部で、想いのままに、相手を罵倒し、攻撃していた二人のやりとりとは違い、両者の関係の、想いの強さを感じざるを得ない。第2部のやりとりが、何よりも印象に残った。
ただ、そんな2部に比べると、第1部、第3部の悟、奈美子のやりとりがどうにも…。「手紙のやりとり」と言う形式的な問題もあるのだが、第3部になっていきなり「自分たちの軽さに…」とか書かれても、ちょっとなぁ…と言う感じがどうしても残る。あまりに、いきなりの変心という風に感じざるを得ないのである。確かに、その後の、現在の悟と奈美子と、過去の誠治と春子の間での一致などの仕掛けはあるのだが、どうにも「急な心変わり」と言う感じになってしまって印象が薄い。形式の持つ欠点をどうしても感じてしまう。
第2部の持つ力と比べ、どうも第1部、第3部の力不足を感じざるを得なかった。

通算1312冊目

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【追伸】 真保裕一 著

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追伸<真保裕一>−(本:2008年134冊目)−

追伸 # 出版社: 文藝春秋 (2007/09) # ISBN-10: 4163262806 評価:75点 いつまでたっても手紙が続くなあと思っていたら、とうとう物語の最後まで手紙だけで突っ走ってしまった。 手紙だけで、親子3代にわたる壮大なラブロマンスを書ききってしまう著者の底力は...


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