著者:近藤史恵
ロードレースチーム・オッジの若手・白石誓。陸上の有力選手として、周囲に振り回された彼が選んだのは、ロードレースのアシストとしての日々。ベテランの石尾、同じ若手の伊庭。彼らと共に始まったシーズン…
第10回大藪春彦賞受賞作。
いや〜…面白かった。
作中に、「競輪ならともかく、ロードレースを知る人は殆どいない」と言う言葉があるのだけど、実際、私の頭の中ではどうしても、競輪のイメージがついて仕方が無かった(詳しい友人に聞くところによれば、競輪でも、アシスト、エースのような役割があり、予想の重要なファクターになっているらしい)
個人競技のように見えて、チームプレイが重視されるロードレース。アシストは、展開を作り、エースの勝利を作るための風除けになる。自らが勝利を得ることは殆どない。まさしくエースのための「生贄」。しかし、それをすることに誇りを見出す日々。
こういっては何だけど、主人公・誓は、「良い人」過ぎるのではないか? と思うくらいに良い人。目立つことが好き、と言うわけではないし、周囲に気を使ってばかり。ただ、だからと言って情熱がないわけではない。ひょんなことから入った欧州のチームへ入れるチャンス。そして、チームのエース・石尾に纏わる黒い噂。そして、起こった惨劇…。
タイトルの「サクリファイス」が意味するのは、アシストと言う役割。そして、最後に示されるもう一つの意味。最後の最後まで、主人公の、人々の情熱と、二転三転するミステリとしての真相。作品として、決して長いわけではないが、十分な読み応えを感じる作品。
通算1313冊目

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テーマ : ブックレビュー - ジャンル : 小説・文学
おっ!私の感情的な感想文と違い,何と冷静な書評でしょう♪
素晴らしい\(^o^)/
たこやきさんは,ミステリとして好印象…だったのね♪
うん,確かに二転三転する人物像や,まぁ真相とまではいえないかもしれないけれど,それらしきものに辿り着き,主人公が一皮むける(?)という構成は,ミステリとしてよくできているのかも…と今さらながら思いました(*^_^*)
そらさんへ
主人公・誓の成長を基盤にして、それが本当に真相かどうかはともかくとしても、二転三転と言う構成の上手さが何よりも面白かったです。勿論、その中でレースに賭ける想いとかも印象的でしたが。
確かに、その中での感情の揺れ動きとか、苦さ、とか、そういうところで割り切れない部分もありますけど、そういうのも含めて、「残る」作品じゃないかな、と想いました。
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