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パスファインダー・カイト

著者:斉藤詠一



日本でも有数の自然保護NGO「月詠記念財団」へと中途採用された速水櫂人。自然環境保護の大切さなどを伝える、という財団の職務を、同僚たちと共に行う彼だったが、彼には秘密があった。周囲に対して明かすことのできない経歴。そして、密かに与えられた任務……
多分、シリーズ第1巻、という位置づけだろうな、という感じがする。そうでないと……という感じだし。
物語は、意味ありげなプロローグが終わり、主人公である櫂人がNGO団体に入って、というところから始まる。そこでの業務は、というと、自然環境保護というのがいかに大事なのか? というのを知ってもらうために動植物の観察会を開いたり、はたまたイベントにおいての企画展を行ったりすること。その中で、トラブルなども起きたりするけれども……という形の日常業務が中心。ただ、その中で、団体の専務から言われた、賛同会員である企業の動向を探れ、という命令があり、その調査なども秘密裏に行う、という形で進行していく。
周囲には「元公務員」と説明している櫂人。これは嘘ではない。しかし、役所勤めという風に周囲から理解されているが、そうではない、というのは明らか。観察会で道に迷ってしまった少年。そんな少年に起きたトラブルを、自然についての知識で解決する。イベントでの展示。しかし、直前になって露見したトラブルを機転を利かせて解消する。そんな様子に、周囲の面々は「やりますね」という反応。それらを、何とかごまかしながら過ごすが……
物語の終盤には、専務から依頼されていた会社の所有する森での観察会。さらに、その中で、その会社が森林の一部を売却するという話があがってくる。その中で不穏な動きが見え隠れして……という部分はある。ここは、その前歴で培った技術を駆使しての問題解決もする。そういう意味では、ちゃんと秘密裏での活動、活劇もなども描かれている。
でも、物語としては、櫂人は何者なのか? という部分がメインに思える。ただし、読者にはバレバレの……という注釈付きの。
だって、プロローグ、そして、「公務員」。そして、その身のこなしやら何やら……というのを考えると、「これ!」という一つには絞れなくとも、「コレか、コレか、はたまたコレか」くらいには候補が絞れるのだから。一番最後に明かされるけど、「やっぱりそうだよね」という感じ。
その上で、櫂人ですらよくわかっていなかった、彼が雇われた理由なども明かされて……となるだけに、やっぱり物語の序章という感じなんだよな。
櫂人の人物像とか、そういうのは非常に立っているだけに、続編でもっとその経緯とかが活かされる展開が来れば、もっと面白くなりそう。

No.6741

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Tag:小説感想斉藤詠一

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