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バスタブで暮らす

著者:四季大雅



磯原めだか、22歳、女子。福島県郡山市出身。世間とのズレに、生きづらさを感じながらも、家族に支えられて暮らしてきた彼女は就職先で傷つき、実家へと戻ることに。逃げ込むように心落ち着くバスタブの中で暮らすように。それなりに楽しい日々だけど、そのままめでたし、めでたし、というわけにもいかなくて……
これ……ライトノベルレーベルでなくて、一般小説レーベルで出しても良いんじゃないだろうか? むしろ、そっちが受けるんじゃないか、という気がする。
元々、引っ込み思案で、これがやりたい、というようなこともなく過ごしていためだか。妙にテンションの高い両親や兄、また周囲の友人と自分は違っている、という思いを抱きながら暮らしていた彼女。それが、就職先のブラックな環境に挫折し、傷ついて実家へと戻ることに。バスタブという狭い空間の中に居場所を見出し、そこで暮らすように。「これじゃあ、風呂に入れない」。そんなことを言われつつも、家族の了解もあり、そこでの生活が始まる。そして、そんな中で、配信者、さらには、V-tuberとしての活動をするようになっていくが……
世間の人々との感覚のズレ。世間一般の、例えば、恋愛とか結婚、家庭を作る……なんていうような価値観。それに対して、どうも自分にはそういう価値観がピンとこない。実感がわかない。そもそもが、自分は、社会の中において落伍者的な立場であるというのに。ここに関しては、ここまで極端ではないとはいえ、自分自身にも当てはまる部分は色々とあるだけに心に刺さる。……そうじゃなきゃ、毎日1冊、ブログに書籍感想を書くような人間にはなってないもん。
そして、そんな停滞の時を過ごしている間にも、めだかの周囲の状況は変わっていく。兄の結婚、母の病……その中で、今のままでいてはいけない、というプレッシャーも強くなっていって……。作中の時間軸とは異なるけど、自分も、数年前に父が亡くなり、母も高齢化して……なんていう状況があるだけに、色々と考えさせられる。だからと言って、じゃあ、一気に変わることができるのか? と言えば、そう踏み出せるものではない、というのもあるし。
物語自体は、結構、ギャグとか、ファンタジー要素とか、ある意味で、強烈すぎるくらいに強烈な周囲の面々のキャラクターという部分もあって、そこまで湿っぽい感じではない。けれども、その背景にあるものを考えるとかなりシリアスなものがある。自分に置き換えて、なんていう風に考えると、「ここは……」とか、「そうだよな」とか、そんな思いを色々と巡らせてしまう。
なんだろう……
面白い、とか、っていうよりも、共感とか、そういう部分を強く感じた作品だった。

No.6747

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Tag:小説感想ガガガ文庫四季大雅

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