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死亡遊戯で飯を食う。4

著者:鵜飼有志



「クラウディアビーチ」を乗り越えた幽鬼の元へ入った一報。それは同時期に行われたゲームの参加者の大半が殺された、というもの。「殺人鬼」の再来。そんな中、「表」での学校生活の中、幽鬼の周辺を何者かが探っている様子があって……
今回は日常会(?)と言った趣のエピソードかな? 実際、今回のゲームのタイトルは「47.5回目」「44.5回目」という形だったし。
で、粗筋の導入から入る47.5回『スクールメイト』。ゲームの合間、定時制学校へと通っている幽鬼。しかし、最近、その学校で何者かにさぐられている様子が見える。学校には、視られて拙いものは持ってきていない。しかし、もし、その捜索が自分の家まで及んでならば……。一方、その幽鬼を追っている人物・仁美は、ただの好奇心で幽鬼を探るのだが、そんな中で、自分がなぜか、そのような行動を得意としているのかに疑念を抱く。
これは完全に、幽鬼のようなプレイヤーの、ゲーム外での日常という印象のエピソード。そもそも、肉体改造を受けているので、普通の治療とかは受けられないし、ゲームを通しての報酬などもあって見せられないものが沢山。そういう意味で、表でも綱渡りの日常と言える。そして、仁美側の事情からも、より、それを感じさせる話に。
そして、少し、時を戻した44.5回『シティシナリオ』。戦いの中で傷ついた右眼の治療をすべく義体職人の元を訪れた幽鬼。そこで、「殺人鬼」についての情報を持っている刺青の彫り師の元を訪れる。かつては、幽鬼と同じくプレイヤーだったというその人物だったが、幽鬼が訪れたそのとき、何者かに殺害されていた。犯人は腕に刺青を施された少女。彫し師の従者たちは、その殺人者を追って……
先に47.5回の方で、プレイヤーは「表」でも、色々と危機がある、という話をしたばかりなのだけど、47.5回のときは、ゲームと関係のないトラブル。しかし、こちらはゲームの中での人間関係などが……というパターン。ゲームのルール上、仕方がない、とはいえ人を殺める存在であるプレイヤー。当然、その時の思いは……。それを受けての45回『ハロウィンナイト』というゲームのエピソードにも繋がっていくのだけど、それも含めて今回は「表」での生活が強調された話になっていたように感じる。そして、その45回目のゲームにおいて、いわばなし崩し的に幽鬼にも……
ここまでも、師弟関係とか、派閥とか、そういうものは出ていたのだけど、今後、そういった人間関係がより強く出ていくようになっていくのかな? というのを感じさせるエピソードになっていると思えてならない。こうなると、だんだんとこのゲームを取り仕切る組織とか、そういうところへも話が派生していきそうな気がするのだけど、どこへと転がっていくのか意識せざるを得ない感じになってきたな、というのが何よりもの感想。

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Tag:小説感想MF文庫J鵜飼有志

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