著者:知念実希人


北海道旭川近隣の森で、リゾート開発中の作業員たちが失踪した。現場となった宿泊所には、巨大な何かによって荒らされた形跡が……。巨大なヒグマによる事件とい見方をされるのだが、その森はアイヌの人々によって「黄泉の森」と呼ばれる場所であった。その頃、その森の近く出身で、家族が突如、失踪してしまった過去を持つ、大学病院に勤務医・佐原茜は自分の家族の失踪と、今回の事件に関わりがあるのではないかと感じ……
「戦慄のバイオホラー」という風に帯に記されており、確かに、ホラー、というカテゴリわけでも違和感はないのだけど、個人的には冒険小説なんじゃないか、という気もする。
冒頭に書いたように、リゾート開発の作業員たちが失踪したところから。現場には血の跡などがあり、巨大なヒグマに襲われたものと思われる。そんな中、熊討ち専門の猟師・鍛冶は、12年前に人を喰ったヒグマによるものだと直感する。だが、その一方で、現場に残された遺体には、奇妙な生物がついていたことが判明する。蜘蛛のような生物には青白く光る遺伝子を持っていた。
巨大なクマによる惨劇。その惨劇を追って……という流れから、奇妙な生物の存在へ。そして、その標的であったクマをも凌駕する謎の存在へ。そこには、不可解な生物の存在が見え隠れ。しかも、その生物の生態と、茜の家族の失踪と言ったものとの繋がりなども感じられるようになってきて……
クマによって引き起こされた惨劇とか、人が無残に殺される描写なども多く、そういうグロ描写なども多いのだけど、「黄泉の森」を巡っての謎。そこに住まう未知の生物は一体何なのか? そういった謎と、そんな危険が潜む森へと挑む茜たち……というのは、例えば、未開の地とか、そういうところに挑む冒険小説と言った作品のそれと共通しているんじゃないか、と思える。勿論、そんな中にひっくり返しというのもあるのだけど。
ただ、そのひっくり返しに至る部分については、その前段階がちょっと強引な感じだっただけに、予想通り、と言う風に思ったところがあったりする。「この人が……」という推理はあまりにも強引すぎたし、それ以外の人物は、というと、この段階で生き残っているのが、っていう状態だし。それが分かった上での部分がホラーだ、と言えばそうなのかもしれないけど。
これまでの著者の作品とはちょっとカラーが違う感じだったけど、でも、しっかりと完成された物語を作ってくるのは流石!
No.6762

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この記事は、「新・たこの感想文」に掲載するために作成したものです。
他のブログなどに、全文を転載することは許可しておりません。
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北海道旭川近隣の森で、リゾート開発中の作業員たちが失踪した。現場となった宿泊所には、巨大な何かによって荒らされた形跡が……。巨大なヒグマによる事件とい見方をされるのだが、その森はアイヌの人々によって「黄泉の森」と呼ばれる場所であった。その頃、その森の近く出身で、家族が突如、失踪してしまった過去を持つ、大学病院に勤務医・佐原茜は自分の家族の失踪と、今回の事件に関わりがあるのではないかと感じ……
「戦慄のバイオホラー」という風に帯に記されており、確かに、ホラー、というカテゴリわけでも違和感はないのだけど、個人的には冒険小説なんじゃないか、という気もする。
冒頭に書いたように、リゾート開発の作業員たちが失踪したところから。現場には血の跡などがあり、巨大なヒグマに襲われたものと思われる。そんな中、熊討ち専門の猟師・鍛冶は、12年前に人を喰ったヒグマによるものだと直感する。だが、その一方で、現場に残された遺体には、奇妙な生物がついていたことが判明する。蜘蛛のような生物には青白く光る遺伝子を持っていた。
巨大なクマによる惨劇。その惨劇を追って……という流れから、奇妙な生物の存在へ。そして、その標的であったクマをも凌駕する謎の存在へ。そこには、不可解な生物の存在が見え隠れ。しかも、その生物の生態と、茜の家族の失踪と言ったものとの繋がりなども感じられるようになってきて……
クマによって引き起こされた惨劇とか、人が無残に殺される描写なども多く、そういうグロ描写なども多いのだけど、「黄泉の森」を巡っての謎。そこに住まう未知の生物は一体何なのか? そういった謎と、そんな危険が潜む森へと挑む茜たち……というのは、例えば、未開の地とか、そういうところに挑む冒険小説と言った作品のそれと共通しているんじゃないか、と思える。勿論、そんな中にひっくり返しというのもあるのだけど。
ただ、そのひっくり返しに至る部分については、その前段階がちょっと強引な感じだっただけに、予想通り、と言う風に思ったところがあったりする。「この人が……」という推理はあまりにも強引すぎたし、それ以外の人物は、というと、この段階で生き残っているのが、っていう状態だし。それが分かった上での部分がホラーだ、と言えばそうなのかもしれないけど。
これまでの著者の作品とはちょっとカラーが違う感じだったけど、でも、しっかりと完成された物語を作ってくるのは流石!
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