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なーんにもできないギャルが唯一できるコト

著者:鈴木大輔



俺のクラスに転入してきたギャル・一ノ瀬涼風。転入早々、クラスの人気者となった彼女が父親の再婚によって俺・嵐山新太の義妹に!? しかも、その正体は、俺が敬愛している神絵師!? 宝くじの大当たりを引いた! と思ったのもつかの間、彼女は一人ではなーんにもできないポンコツで……
新太、メッチャ、飼いならされて(?)いますがな……
最初に書いた通り、父親の再婚によってできたのは、転入早々、クラスの人気者となったギャル・涼風。いきなり始まった同居生活。しかも、両親は新婚旅行に行ってしまい、二人だけの生活。ところが、文字通りにポンコツな涼風の世話をすることになってしまい……と言う話。ただし、涼風は、新太が一押しの神絵師であるため、その新作をプレゼントする、という餌を与えられて、一生懸命、彼女の世話をすることになる。
「あんたホントに何もできねえな!」
作中で、一体、何度、この言葉が飛び出ただろう? 料理が壊滅的とか、片付けができない、とか、そのくらいならば可愛いもの。それどころか、髪のセットやら、メイクやら、服の着替えですら一人で出来ない。眠るときだって、添い寝してくれないとダメ! 勿論、そういう相手なので、何かにつけてラッキースケベ的な展開も次々と。新太視点での物語なので、当然、そんな涼風の恰好などから性的な興奮を覚えたりもするけど、それでも自制する。……ある意味、新太、お前はえらいよ……という気分に。
そんな自重をしつつ、しかも、文句は言いつつもお世話をする理由。それは、涼風が自分のために新作を描いてくれるから。……一押しの絵師の、新作がもらえるなら、と言うのはわからんでもないが、読み終えて、こういう風に感想を書きながら考えると、これはこれで、結構、特殊な人間だな、という気がしてきた。その辺りの、涼風さのポンコツさ、ツッコミを入れつつも世話をする新太の、別のベクトルでのおかしさ。そういうところは十分に楽しめた。
ただ、この作品……1巻を読んだ段階では、ちょっと不満の残る終わり方ではあるんだよな。
物語の最後に続巻への引きを残して終わる。これ自体は別に何も悪いことではないのだけど、この作品の場合、中盤くらいから「これが後々の事件に繋がる」とか、そういう匂わせを沢山入れている。入れているのに、そこについては全く触れられることなく終わる。終わるどころか、最後にネタバレと称して「この人はこうで」的な解説がされることに。既に2巻も手元にあるので、それほど時間をかけずに読むつもりで入るのだけど、リアルタイムで1巻を購入して読んでいたら「おい!」って気分になったんじゃないかと思う。

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Tag:小説感想角川スニーカー文庫鈴木大輔

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