著者:辻寛之


2021年9月11日。アメリカが国際指名手配するイスラム過激派のテロリスト・赤星が警視庁に出頭したその日、国会議事堂に無人偵察機が突っ込んだ。アメリカに引き渡されればCIAに殺されると訴える赤星だが、テロに関しては「神の導き」としか言わない。各機関の連携がうまく取れず、国民生活にも影響が出始める中、追い打ちをかけるように北朝鮮のミサイルが発射されるという情報が流れ始め……
スケールの大きな話ではあるのだけど……正直なところ、途中まではなかなか入り込めなかった。
冒頭に書いたように、国会議事堂に無人偵察機が突っ込んだ、というところか始まる物語。9.11を一つのモデルにしていることは間違いなく、さらにそこに続くように次々とサイバーテロが……。対応する政府は混乱を極め、犯人が誰なのか、ということすら判明しない。そんな緊迫感自体は良いのだが、様々な視点が入り乱れて展開するためにちょっと入り込みづらいと感じられた。
勿論、AIだとか、サイバー技術とかが発達する中、顔の全く見えない敵。それも、ある意味では安全策と言える全くの外部から兵器などを乗っ取って……。はたまた、電気やガス、水道と言ったライフラインを支配することによって、より大規模なテロを行うことができる。さらには、その主体を人間ではなく、AIにすることによって……。この辺りの問題提起というのはよくわかる。
また、そんな中で、国際関係の問題。当初の発端であった01年の9.11。そこから始まったアメリカによるイスラム国家へ対する行動。アメリカは、そんなイスラム組織への攻撃を掲げる。イラクのフセイン政権が大量破壊兵器を持っていると侵攻するが、しかし……その兵器は発見されず。むしろ、そのことによって曲がりなりにもまとめられていた過激派組織は分散し、問題は複雑化することに。この辺りは、歴史上の事実ではあるのだけど、そんな背景としてあるアメリカの覇権主義。その中で渦巻く陰謀。その中に巻き込まれて行った赤星の人生と言った形で上手く物語に落とし込んでいるとは思う。
正直、この手の作品って大好きなのだけど、序盤に書いたように、自分はちょっと入り込みづらかった。序盤は、ひたすらにテロの中で右往左往する政府の描写が続き、赤星は沈黙。中盤くらいから赤星の人生……という構成とかが関係しているのかな? 素材は面白かったし、むしろ大好物なハズなだけに、何故だろう? という気分になった。
No.6770

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この記事は、「新・たこの感想文」に掲載するために作成したものです。
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2021年9月11日。アメリカが国際指名手配するイスラム過激派のテロリスト・赤星が警視庁に出頭したその日、国会議事堂に無人偵察機が突っ込んだ。アメリカに引き渡されればCIAに殺されると訴える赤星だが、テロに関しては「神の導き」としか言わない。各機関の連携がうまく取れず、国民生活にも影響が出始める中、追い打ちをかけるように北朝鮮のミサイルが発射されるという情報が流れ始め……
スケールの大きな話ではあるのだけど……正直なところ、途中まではなかなか入り込めなかった。
冒頭に書いたように、国会議事堂に無人偵察機が突っ込んだ、というところか始まる物語。9.11を一つのモデルにしていることは間違いなく、さらにそこに続くように次々とサイバーテロが……。対応する政府は混乱を極め、犯人が誰なのか、ということすら判明しない。そんな緊迫感自体は良いのだが、様々な視点が入り乱れて展開するためにちょっと入り込みづらいと感じられた。
勿論、AIだとか、サイバー技術とかが発達する中、顔の全く見えない敵。それも、ある意味では安全策と言える全くの外部から兵器などを乗っ取って……。はたまた、電気やガス、水道と言ったライフラインを支配することによって、より大規模なテロを行うことができる。さらには、その主体を人間ではなく、AIにすることによって……。この辺りの問題提起というのはよくわかる。
また、そんな中で、国際関係の問題。当初の発端であった01年の9.11。そこから始まったアメリカによるイスラム国家へ対する行動。アメリカは、そんなイスラム組織への攻撃を掲げる。イラクのフセイン政権が大量破壊兵器を持っていると侵攻するが、しかし……その兵器は発見されず。むしろ、そのことによって曲がりなりにもまとめられていた過激派組織は分散し、問題は複雑化することに。この辺りは、歴史上の事実ではあるのだけど、そんな背景としてあるアメリカの覇権主義。その中で渦巻く陰謀。その中に巻き込まれて行った赤星の人生と言った形で上手く物語に落とし込んでいるとは思う。
正直、この手の作品って大好きなのだけど、序盤に書いたように、自分はちょっと入り込みづらかった。序盤は、ひたすらにテロの中で右往左往する政府の描写が続き、赤星は沈黙。中盤くらいから赤星の人生……という構成とかが関係しているのかな? 素材は面白かったし、むしろ大好物なハズなだけに、何故だろう? という気分になった。
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