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縁切り上等! 離婚弁護士 松岡紬の事件ファイル

著者:新川帆立



夫のモラハラと浮気。衝動的に子供を連れて実家のある北鎌倉へと向かった聡美。しかし、追いかけてきた夫につかまりそうになったところを、近くにあった寺の住職に助けられる。その寺、東衛寺は歴史ある「縁切り寺」で、聡美は寺の娘で離婚問題を専門に扱う弁護士・松岡紬を紹介され……(『くやしくば尋ね来て見よ松ヶ岡』)
から始まる離婚問題を中心に添えた連作短編集。全5編収録。
著者は元々、弁護士として活動をしていた方で過去にも法律問題などを題材にした作品を描いてきた人。ただ、他の作家の作品も含めて、「離婚問題専門」という題材の小説って珍しいんじゃないかと思う。考えてみれば、ワイドショーとかでも、芸能人の泥沼離婚劇とかおなじみの題材。それを題材にしたら面白い話もできるよなぁ……というのがまず思ったことだったり。
まぁ、そんな作品なので、離婚を進めるにあたっての蘊蓄とかが多い。例えば、粗筋で書いた1編目。家庭内でのモラハラとその夫の浮気。それが家出をしたきっかけだが、夫の浮気を問い詰めたわけじゃない。ならば、離婚を有利に進めるにあたって浮気を知っていることは悟られるな。その間に言い逃れができない証拠を集めるべし……とか。1編目は、まさにそんなノウハウとかを描いた話と言える。そして、無事、離婚できた聡美は、事務員として紬の下で働くことになって……
2編目『松ヶ岡男を見ると犬が吠え』もまた、同様。依頼人は妻が浮気をした上で出ていった。離婚を考えているが、親権はどうなるのだろうか? 親権を取れるように、というが……。紬、さらにこの編の語り部である提携している探偵の出雲が感じる依頼人に対する違和感。仕事を一生懸命やって家計を支えているのに、離婚をすると子供の世話を普段からしているから、と妻に親権が……。依頼人が言うように、そのまま思うと男性差別(?)と感じるけど、でも……。作中でも語られるように、無意識のうちにある男尊女卑の考え。傲慢な男側の考え方。流石に、この依頼人は弁護の仕様がないのだけど、そこまで行かずとも……というのはあるんだろうな。この辺りも、著者の経験とか、そういうのが下敷きになっているのかな? と言う風に感じた。
ただ、その一方で、この作品を彩るのが、中心にいる紬という存在について。提携している探偵の出雲は、紬の幼馴染で、紬に対する想いを抱いている。だが、当の紬は他者に恋愛感情を抱いたりできないという。また、3編目の語り部である父・玄太郎は、自分の離婚が紬に影響を与えたのではないか? と考えている。そして、当の紬自身は……。紬と言う人物がどういう存在なのか、というのはわかるのだけど、じゃあ、物語の中で大きな意味を持っていたか、というと、そこまででもないし……
その部分は、ちょっと不完全燃焼感も覚えたかな?

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Tag:小説感想新川帆立

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