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魔女推理 嘘つき魔女が6度死ぬ

著者:三田誠



春。満開の桜の下で僕は彼女と再会した。檻杖くのり。久城という町の名門であり、「魔女」と呼ばれる彼女の周囲では常に奇妙な事件が起こり……
なんか面白かったんだけど、言語化が難しいな。推理、謎解きと言う要素はあるのだけど、所謂、何か事件が起きて、その事件の犯人を捜して、とか、そういうタイプの物語ではないっていうのが大きいのだけど。
物語としては、「魔女」なんていわれるくのりと、主人公である拓海が出会い、行動をする中でくのりが奇妙なものを見る。そして、その奇妙なことが何なのか、というのを解きほぐす、という形になっていく。「魔女」……こういう風に言うと、箒に乗って空を飛んだり、とか、そういうイメージになるのだけど、そうではなく、共感力の高さ。つまり、日常の中で無意識の中で、様々なことを察知してその状況を見てしまう。くのりの場合は、その力が強すぎて、物品であるとか、そういうものからも、その背景にあったことを察知してしまう、という存在。ただ、無意識なので、それが実際に見たことなのかどうかわからないので、その状況を拓海が解きほぐす、という形で物語が進展していく。結果、調査をしている感じはない。
ということで、感想としてはくのりと拓海の関係性の印象が強い。
くのりは、その共感力をもって、何かについて想いなどを察知してしまう。そうすると、意識を失ったりとかしてしまう。小学生のころ、そんなくのりの特性を見てしまった拓海。その後、一度は距離を置き、再び高校生になった二人は再会した。そして、やはり昔と同じような状況に遭遇する拓海。謎を解きながら、しかし、その中にある「死」の記憶に惹かれているくのりに対する拓海の複雑な想い。小学生の頃がそうだったように、そこで死を疑似体験するくのりに対する怖さ。同時に感じる魅力。相対する想いにひたすらかき乱される。そして、物語の最後で明かされるもの……
この関係性の果てに待っているのは破綻と言えるもの。そして、拓海の存在が、くのりにも影響を与えているという示唆。この関係性がどうなっていくのか? そこが気になる終わり方だった。

No.6800

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Tag:小説感想新潮文庫nex三田誠

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