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白ゆき姫殺人事件

著者:湊かなえ



化粧品会社勤務の女性社員が黒こげの遺体で発見された。ひょんなことから、事件に関する情報を手にした週刊誌のフリー記者・赤星は独自に取材を進めることに。関係者に対する取材の中で浮かび上がってくるのは、事件の翌日から欠勤を続け、行方をくらませている被害者の同僚。様々な憶測、噂話が飛び交い始めて……
どういう風に感想を書こうか? 単行本として刊行されたのが2011年で、その後、映画化などもされているので、この作品を知っている人は多いんじゃないかと思う。自分自身、タイトルとかは知っていて、中身は見ていない、という状態で本作を手に取った、という人間なので。
物語としては、冒頭に書いたように、化粧品会社勤務の女性が殺害され、その女性に近しい人のインタビューという形で綴られていく。そして、その各章の最後に「参考資料」として、巻末に綴られたSNSでのやり取りなどを再現した頁が記されている。実を言うと、私自身は、この「参考資料」の部分は一切見ず、ひたすら各章のインタビュー部分を最初のページから読み続け、200頁余りのインタビュー部分が終わってから、参考資料のところを読んだ。これ、私のような読み方をした人と、各章が終わったら「参考資料」の部分を読んだ人でも物語の印象が変わりそう。
で、まぁ、物語の主題というのは先入観とか、そういうものかな?
殺害された女性社員・三木典子は美しい容姿を持った女性だった。そんな彼女が殺害されたことにより、同僚たちのインタビューをするのだが、そこで浮かび上がってくるのは、同じ「ミキ」の名を持つ城野美姫という女性。どちらかと言えば大人しい性格で目立たない。しかし、そんな彼女の職場ではちょっとした盗難事件などが起きていた。さらに、その城野美姫が行方不明となり、そんな彼女についての報道がなされる中、彼女の同級生や、はたまた、出身地の地域の人々が語っていくのは……
人間、誰しもちょっとした失敗とか、変なこととか、そういう部分は持っているはず。それらが、事件と結びつけられて、語られていく。しかも、あくまでも噂話であったりとか、印象論であったり、という形で尾ひれがくっつきながら。事件捜査のように、ちゃんとアリバイだとか、物証だとか、そういうものを積み重ねるのではなく、あくまでも週刊誌の聞き込み。噂が噂を呼び、雪だるま式にどんどん大きくなっていく、というそんな状況というのが印象に残る。
で、そのうえで、ポイントになるのが、先にも書いた「参考資料」の部分。
ぶっちゃけた話、この部分を読まずに、インタビュー部分だけを読んでいくと、勿論、噂レベルの話と感じるところはありつつも、普通のインタビューを題材にした作品として読んでいたからこそ、そこまで違和感を感じずに読んで、最後に「おおっ!」という感じに。でも、各章→参考資料→各章→……という形で読んでいった場合、いかにそれが胡散臭いのか、っていうのを感じられると思う。そうすると、「やっぱりか!」という感じになるのかな? なんてことも思う。このあたり、本当に読み方によって感想が2種類に分かれるんじゃないかな?
どちらの読み方が正しい、というようなものはないと思う。ただ、読み方によって感想が変わってくるであろう、という点もまた、この作品の一つの魅力なんじゃないかな、と思った。

No.6824

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Tag:小説感想湊かなえ

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  •  『白ゆき姫殺人事件』
  • 湊かなえ 『白ゆき姫殺人事件』(集英社文庫)、読了。 湊さんお得意の、関係者が主観的に事件や人物を語りまくるという構成。 本作では、フリーライターが取材をして回っているという形式ですが、 解説にも書かれている「話を盛っちゃう」感が良く伝わってきます。 取材と言いながら、情報を切り貼りしているだけで 何ら自分なりの分析や考察を加えようとしないので、 その盛られた話をそのまま記事にしてしまっ...
  • 2023.11.14 (Tue) 22:51 | 観・読・聴・験 備忘録