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むかしむかしあるところに、死体がありました。

著者:青柳碧人



BOOK☆WALKER

『浦島太郎』『鶴の恩返し』など、お馴染みの昔話をミステリへと転化させた短編集。全5編を収録。
まぁ、昔話をモチーフにしているのだけど、ただ、粗筋そのものは昔話のそれと登場人物や設定が似ている、というだけで別物となっている。そして、結構、業の深い人物になっているような気がする。
1編目『一寸法師の不在証明』。勿論、モチーフは『一寸法師』。
鬼を退治し、姫君と婚約することとなった一寸法師。そんな一寸法師に殺人の容疑がかかる。だが、殺人が行われたと思しき時間、一寸法師は鬼の腹の中にいた、という鉄壁のアリバイがあって……。アリバイトリックと言う、ガチガチのハウダニットのミステリー。そして、そんなトリックには、当時の風習と、この作品ならではの道具・打ち出の小槌を用いたトリックは印象的。しかし、一寸法師、本当にロクデナシだなぁ。
2編目『花咲か死者伝言』。モチーフは『花咲かじいさん』。
真っ白な野良犬のおいらは、ある老夫婦に拾われる。老夫婦は、かつて、同じように白い犬を飼っていて、その犬は不思議な出来事を起こし、しかし、近所の老人に殺されてしまったという。その犬に変わって大切にされるのだが、飼われ始めて数日後、おじいさんが殺害されてしまう。おいらは、その犯人を捜すことにするのだが……。花咲かじいさんを苦しめ、しかし、常に裏目に出た爺さんは既に囚われの身。その他の、動機がありそうな者たちも……。そんな中での犯人は……
とにかく私利私欲を捨てたからこそ、花咲かじいさん。でも、人間は何かがあれば変わってしまうこともある。よく言われることだけど、なんか世知辛い真相だった。
5編目『絶海の鬼ヶ島』だけは、ちょっと毛色が違うかな?
『桃太郎』によって、多くの鬼たちが殺されてしまったその後の鬼ヶ島。生き残った鬼たちは、「人間」や「猿」「雉」「犬」と言った侵略者たちを恐れ、数家族で細々と暮らしていた。だが、そんなある日、島で殺人……ならぬ、殺鬼事件が発生して……
孤島の中で次々と起きていく殺人。誰が犯人なのか? という以前に、文字通り「次々」なので、身の安全をどうやって図るのか? なんていう部分も。一応、トリックとかも考察はされるけど、そこには打ち出の小槌とか、ここまで出てきた昔話のアイテムも登場。そういう意味で、作品の締め、として描かれたのだろうと思う。そして、その真相もまた……実に皮肉な話ではある。

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Tag:小説感想青柳碧人

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