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飯所署強行犯係 事件ファイル

著者:中村啓




凶悪犯罪とは無縁のベッドタウン・飯所市で著名なオカルト研究科・武長吉男が不可解な死を遂げた。その遺体は、自室の椅子に座った状態で、上半身だけが焼失した状態で発見されたのだ。飯所署の刑事課強行犯係の榎木は、先輩の土井からこれは、人体発火現象の結果に違いない! と言われ……。一方、その頃、飯所署では資産家老人の失踪事件、近隣で行われた氷フェスティバルの氷像破壊事件なども起きていて……
一応、ジャンル分けをするならユーモアミステリ、ということになるのかな?
物語としては、一応、榎木が主人公となるのだと思う。彼は、先に書いた武長の捜査に加わる……のだけど、どちらかと言えば捜査に参加というよりは、有名政治家の息子ということでやりたい放題の問題刑事で、先輩の土井のブレーキ役としてコンビを組まされることに。そして、土井の無茶苦茶な捜査に振り回される、という部分が強く押し出されている印象。
何しろ、土井の発想が無茶苦茶。元々、土井はオカルト好き。そのため、事件は人体発火事件だと言い出し、その線で、テレビ番組で武長と対立していた大学の准教授を疑い始める。その准教授のアリバイが確認され、武長に多額の保険金が掛けられていると知るや、今度は武長の妻を……。はっきり言って行き当たりばったりも良いところ。勿論、そちらを優先するため、与えられた仕事はそっちのけ。ユーモアミステリとして、こういう展開はありなのだけど、他の面々が基本的に真面目なので、ちょっと浮いている感はあるかな。そして、その一方での氷像破壊事件や老人の失踪事件について少しずつ進展していって、それぞれの繋がりなども見え始めて……
物語としては、様々な謎がしっかりと結びついて終わっているので、綺麗にまとまっているとはいえる。
ただし、物語の中で「謎の存在」として暗躍する外国人・トーマスが表れて、上手くヒントを与えてくれて、というような展開はちょっとご都合主義に感じられるかな? そのトーマスが何者なのか? というような部分は依然として謎なままだし。なんか、無理にドタバタしなくても、物語の様々な要素が活かされていたと思うだけに、この作風だと逆に入りづらいんじゃないかな? と思えてならなかった。

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Tag:小説感想中村啓

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