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少女事案 ~炎上して敏感になる京野月子と死の未来を猫として回避する雪見文香~

著者:西条陽



BOOK☆WALKER

どこにでもいる男子高校生の夏目幸路は、この夏休み、小学校5年生の女の子を「猫として」飼っている。それは、当の小学生である雪見文香が「未来のニュースを視る」能力を発現し、自らの死を予知していた。そして、それを回避するためには、幸路の家で「飼い猫」として振る舞うことだった。5年前に起きた小学生連続殺人事件・8月事件。その再現のような事件が起きる中、幸路、雪見、そして、幸路の幼馴染の少女・月子を巡る運命は……
一応、異能ミステリとでもいうジャンルになるのかな?
先に説明をすると、物語の前提として、この世界には「異能」と言えるものがある。それは、過去に壮絶な経験をした者に発現する能力で、雪見は未来のことがニュースサイトの見出しのように現れる。そして、月子は炎を操ることができる、というもの。ただし、その能力を発現するとその代償も必要になり、雪見は布団などで眠ることができない。月子は身体が発情してしまい、それを鎮める必要がある。……そのため、幸路と月子の疑似性行為的な描写が結構挿入される。
で、月子がそのような能力を発現してしまった過去、というのが5年前の事件。毎週、1人ずつ小学生が殺される、という事件の4番目の被害者に選ばれ、しかし、辛くも死を免れた、というトラウマがトリガーとなっていた。幸路はその事件以来、その犯人を捜している。そして、5年間の沈黙を破り、次なる事件が……。そんな感じ。
恐らく、雪見はその殺人犯に殺されてしまう。それを防ぐために、そして、5年前の真相を明らかにするため、調査を開始する幸路たち。小学生時代、一緒に調査をしていた仲間たちも加わって調査を開始る。だが、そんな中で届く「事件に関わるな」という警告文。その結果、判明する「今回の」犯人。それでも……
純粋にミステリとして見れば、一足飛びに答えにたどり着くような部分があるな、と言う風に感じるところはある。けれども。その中での月子、雪見との関係性と言うのは印象的。「現在の」事件を解決したことによって変わった運命。しかし、それは……という雪見の悩み。過去のことがあり、幸路は自分の側に、という月子の葛藤。一方で素直になることができず、かつ、変な潔癖症もあるために、足踏みともいえるような幸路と月子の関係性。事件というのが物語の中心になっているのだけど、本当はそっちがメインなのではないか、と言う風に思わざるを得なかった。
ただ、事件の真相は……かなりどす黒いと言わざるを得ないもの。これはこれでトラウマものだよなぁ……と。
物語的には、もう一人、幸路のあこがれの人という白瀬さんという人物もいるのだけど、彼女はまだ顔見せ程度の状態なので、今後、どういう風に絡んでくるのか楽しみ。

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Tag:小説感想ガガガ文庫西条陽

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