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龍の墓

著者:貫井徳郎



BOOK☆WALKER

東京都町田市の山中で、身元不明の焼死体が発見される。町田署の女性刑事・保田真萩は捜査一課の南条と共に遺体について調べるが、有力な情報をつかめずにいた。そんな矢先、今度は荒川区で女性の変死体が発見される。奇妙な装飾が施されたその遺体が発見されるや否や、ネット上には人気VRゲーム『ドラゴンズ・グレイブ』を元にした見立て殺人ではないかという噂が流れ始める。一方、人間関係に疲れて仕事を退職し、『ドラゴンズ・グレイブ』に熱中する瀧川の前に、館を舞台にした殺人事件というイベントが始まり……
著者の公式サイトで「なぜかバリバリの本格になってしまった」と紹介されているのだけど、著者の作品でこういう形式の作品って凄く久々な気がする。
粗筋で記したように、物語は町田の焼死体を契機とした連続殺人(?)と、ゲーム内のイベントとして行われる館内での連続殺人という二つの連続殺人を中心に描かれる。そして、そのゲーム内の事件の再現だ、という噂の通り、事件現場は似たような印象になっている。
第一の殺人は高温の炎によって焼かれて、という殺人。第二の殺人は、光に貫かれて死亡する。そして、第三の殺人は首を絞められて。
ゲーム内では、貴重な魔法を使用して行われたものとしか思えないやり方。しかし、自分が魔法使いである、と言う風に言っている人物は存在しない。館に揃った人物はむしろ戦士のような人物ばかり。魔法使いになるためには厳しい修行が必要で、魔法使いだけど戦士としても……という人物がいるとも思えない。では、一体?
一方の現実の事件は、そんなゲーム内の事件という題材を上手く利用した形で……
現実の方の殺人に関しては、物語の冒頭から描かれているのだけど、ゲーム内の事件はなかなか事件が起きず、ただひたすらに瀧川がゲームに興じる姿が描かれるというちょっと変則的な構成ではある。けれども、その瀧川がゲーム内でやってきたことが、しっかりと伏線になっての解決というのに納得。そして、その上での、現実の事件について……。トリックとしては、結構、古典的なトリックだと思うのだけど、それが一つの味何なっているのはわかる。さらに、その現実の事件についての背景は……
これは、本当に昨今、色々と話題になっているものの一つだと思う。丁度、これを書いている時点でも、そんな話を髣髴とさせる出来事が起きているし。犯人の行動は、ある意味では荒唐無稽と言えるものの、その問題を引き起こしている存在と動機と言う点では同じともいえる。本格モノ、としての体裁はしっかりと取りつつも、しかし、そういった現実の出来事を反映していく辺りは、やっぱり著者だな、とも感じるところだったりする。
間違いなく本作は本格モノの味わいがある。でも、同時に現実とのリンクも。両者の良さをしっかりとハイブリットした策品じゃないかと感じた。

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Tag:小説感想貫井徳郎

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