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赤ずきんの殺人 刑事・黒宮薫の捜査ファイル

著者:井上ねこ

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名古屋市中川区で裂かれた腹に石を詰められた他殺体が発見された。遺体のそばには、グリム童話の1ページ。グリム童話『赤ずきん』の狼に見立てられたと思しき遺体は、特殊詐欺グループの構成員だった。愛知県警捜査一課の犬走は、上司である黒宮と共に捜査に当たるが、今度は昭和区で『白雪姫』に見たられて女性が殺害される事件が起こり……
ということで、グリム童話を題材にしたと思しき見立て殺人に犬走&黒宮が挑む、という作品。
まず思ったのが、色々なものを詰め込んできたな、という点。冒頭に書いたように、物語は『赤ずきん』に見立てたと思しき事件が起こり、さらに、今度は『白雪姫』に見立てたと思しき事件が起こる。第一の事件の被害者は、特殊詐欺グループの幹部として、警察から指名手配されている存在で、第二の事件の被害者もまた、自分の娘を殺害したのではないか? という疑惑が過去にあった女性。だが、第二の事件の被害者に関しては、あくまでも疑惑どまりで、現在は娘の死をきっかけに夫と離婚し、一人寂しい生活を送っている、という状態だった。何か共通点があるのか? そう思われる中、目下売り出し中の「暴露系ユーチューバー」の元へ、犯人を名乗る存在からメッセージが届く。そして、ユーチューバーを交えての第三の事件『青髭』が起きていって……
第一、第二、第三……と、次々と起こる見立て殺人。犯人は脛に傷を持つ存在を狙う連続殺人犯……という風に言えば、その通りのようにも思える。だが、何か、そこに感じる違和感。そんなところから、犬走&黒宮は事件についての捜査を進めていくのだが……
ミステリの謎解きとしては、動機メイン、つまり、ホワイダニットが中心になるのかな? という感じはする。それぞれの殺人事件と犯人の関係性。その事件を起こす理由。被害者が何か、チグハグしていると感じられる理由。そういうものが、しっかりと最後に繋がって意味を為す、というのは見事の一言。しかも、猟奇殺人と言える犯行を起こした理由に関してもしっかりと意味を為しているし。
その上で、犬走&黒宮だけでなく、ユーチューバー(動画配信者)を巡ってのアレコレとかもなかなかに印象深い。ちょっと前に、暴露系配信者と言う肩書の国会議員が、脅迫容疑などで逮捕された、という事件があったけれども、その辺りの社会問題と見たいなものにも触れていたりするし。多分、これは、執筆の動機とかにもなっているんじゃないかと思う。その辺りの振り幅の大きさも良いアクセントになっているな、と言う風に思う。
タイトルにあるほど、黒宮が目立っていた感じはしないけど、完成度は非常に高い一作じゃないかと思う。

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Tag:小説感想井上ねこ

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