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2008/07/17 (Thu) 18:36
(書評)錆びる心

著者:桐野夏生

錆びる心 (文春文庫)錆びる心 (文春文庫)
(2000/11)
桐野 夏生

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表題作を含めた6編を収録した短編集。
何というか…短編ではあるが、読んでいて何とも「心地が悪い」、何ともいえない気分になる作品が揃っている、というのが何よりもの感想。それぞれ、短いながらも、ささやかな醜い心、姿を描き出している。
恋愛に纏わる話が、思わぬ真相に行き着く『虫卵の配列』。読み終わった後の、真相の、その奇妙さ、そして、変な爽やかさが印象的。逆に、『羊歯の庭』や『ジェイソン』は、非常に身近で、身につまされる醜さがある。特に『ジェイソン』に関しては、自分も似たような部分があるだけにキツかった(^^;)
物語の中で、一般的に犯罪と言えるようなものは少なく(細かく、法律を見れば違反とかあるにせよ)、あっても些細な事件だけ。題材となっているものも、非常に日常的な一コマに過ぎない。だからこそ、それをより強く感じるのだと思う。最後の表題作『錆びる心』で描かれる残酷な、でも実は何気なく行っている行為が何ともいえない後味を残した。
読んでいると、いたるところに、どんなときでも身近に狂気があるのだと思わされる。こういうところに著者の巧さを感じる。

通算1320冊目

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