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タラニス 死の神の湿った森

著者:内藤了

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BOOK☆WALKER

イギリス・ウェールズの屋敷で暮らす少年・ジョージ。出張中の父、出産のため入院中の母がいないある夜、彼は兄のアルフレッドと共に家政婦のミツコから屋敷に纏わるメリッサという少女が、子供を食べるという死の神にかまどで焼かれた、という物語を聞く。そのかまどは屋敷の廃墟部分の「死の部屋」にあるので行ってはいけない、と言われるのだが、兄は母と生まれてくる赤ちゃんのための贈り物をさがすため、そこへ行こうと言い出して……
ここまで著者の作品をひたすらに追いかけてきたのだけど、著者初の単行本。そして、海外を舞台にした作品となっている。そのため、これまで読んだ著者の作品とは大分、カラーの異なる作品だな、というのが読みながらまず思ったこと。
鉱山を経営する父、過干渉な母のもとに生まれたジョージ。有能だが、ちょっと口うるさい執事のファーガソンと、優しい家政婦ミツコ、従者のトム、そして兄と共に暮らしている。間もなく妹も生まれ、ますます幸せに、と思われたのだが……。一緒にいるのに、自分にばかりかまい、兄の存在を無視する両親。そんな中、妹を連れて母が戻ってくるものの、母の様子がおかしくなってしまう。もとよりのヒステリックさが強くなり、さらに生まれたばかりの妹に対しても奇妙な行動を。そんな中での妹の死。両親の不和……
これは、禁忌の地である「死者の部屋」に入り、メリッサを解き放ってしまったためなのか? それとも?
心霊現象とも思えるし、一方で、ちゃんと合理的な解決もまた考えられる。読んでいて、何となく「こうなのではないか?」とか、そういうのを考えながら思っていたのだけど……。不可解な部分について、まず1つめにそう来たのか! という驚きがあり、さらにそこから合理的な理由なども判明する。ただ、それだけでなく、この館の過去の事件などもしっかりと回収されることによって、ただ合理的に解決されるミステリとしての味わいだけでなく、ホラー小説的な味わいもしっかりと感じられたのは見事の一言。著者の、特に角川ホラー文庫から出ている作品とはちょっと違った形での融合ではあるのだけど、海外を舞台にしたからこその雰囲気で読んでいて面白かった。

というところまでが、読み終わっての感想だったのだけど、この感想を書くにあたってネット書店に掲載されている本作の紹介を見てもう一つのサプライズが……
これ、『藤堂比奈子』シリーズに登場する法医昆虫学者・ジョージの幼少時代を描いたスピンオフだったのね……。ジョージが、虫が大好きで、そこに惹かれていく様子とかはちゃんと描かれていたのだけど、読んでいる最中、全くそのことを意識していなかった。

No.6917

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Tag:小説感想内藤了

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