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魔女推理 きっといつか、恋のように思い出す

著者:三田誠

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「天才」たちを襲った突然の死。そんな事件に僕とくのりは引き寄せられ、恋をするように夢中になる。なぜならば、くのりは悲劇の味を誰よりも好むから……
シリーズ第2作。2編のエピソードと、後日談的なエピソードを収録。
1作目の感想では、あまり調査をしている感じがないかな、というようなことを書いたのだけど、本作はタイトルの通り、特殊設定ミステリのような感じで、ふたりが事件の謎を解くミステリという印象が強くなった感じ。
1編目『魔女の残影』。陸上部を引退した七尾先輩から伝えられたのは、幼馴染で、才能あふれるランナーだった荷稲修が死んだ、という事件。死は、交通事故で事件性はないのだが、なぜか引っ掛かる。さらに、修が練習していたグラウンドには修の幽霊が現れるという……
修の家は、母親と修、そして、弟の3人家族。優秀なランナーであった修とは異なり、弟は引きこもり状態で表に顔を出さない。そして、くのりが見た修の死の瞬間に放った言葉は「母さんが……死ぬ……」。荷稲家が抱えていた問題。兄妹の関係性。最近、色々と話題になっている社会問題。そんなものを取り込んでの物語。それぞれが、それぞれを守るために嘘をつき、それが雁字搦めになっていた一家。多分、このままでは未来のない状況だったわけで、解きほぐすことで、一つ先へ歩むことができる。そういう意味でもハッピーエンドと言える終わり方だったんじゃないかと思う。
2編目『嘘つき魔女の舞台』。演劇の天才と呼ばれた柊いそらという少女が夜の講堂、舞台の上で服毒死した。事件性はないと判断されたが、その少女は危険ドラッグを服用していたことがわかる。さらに、いそらはかつて、酷いいじめを受けていたことが判明する。
こちらも、危険ドラッグはどこから出てきたのか? という謎がまず登場する。寮生活をしており、荷物などについて生徒だけでなく、教師すらもが厳しく制限を受ける場所でどうやってそれを手にしたのか? そんな謎に加え、かつてのイジメに関する人間関係が加わっていく。
こちらは、謎自体はちょっと明後日の方向に言った感じはある。しかし、いじめの加害者と被害者の関係。どちらもが嫌っているか、と単純化してしまいがちになるけど、そうとも言い切れない。そんな部分が印象に残った。そして……
これは最後のエピソードにも関わる話になっていくのだけど、そんな事件を通して、主人公とくのりの関係性にも影響を与えそうな存在が表に出てくる。前作の感想でも、破綻が見えている、という風に書いたけど、それをより印象付ける終わり方だった。

No.6918

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Tag:小説感想新潮文庫nex三田誠

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