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鴉の箱庭 警視庁捜査一課十一係

著者:麻見和史

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新宿区歌舞伎町のドラッグストアのゴミ置き場で切断された人の右手が発見された。捜査に当たる如月塔子と門脇仁志のコンビは如月のアイデアから、あるホストクラブの人気ホストのものであると突き止める。人気ホスト殺害事件……、ホストと客のトラブルという方針が固まるが、今度は西新宿の超高層ビルのレストラン街で別人の左手が発見されて……
シリーズ第15作。
前作同様、主人公である如月塔子がコンビを組むのは「足を使う」ベテラン捜査官・門脇という形で物語が展開される。さらに、前作で示唆された「事件をプロデュースする」存在というのもより表に出てきた形に。
前作の感想で、「筋読みをしようにも色々とチグハグ」ということを書いたのだけど、本作もまた同様。第1の事件の被害者は、歌舞伎町の人気ホスト。女性に金を使わせ、その上で人生をも狂わせることがある存在。だからこそ、その客とのトラブルが理由かと思われたものの、今度は全くの別人が被害者に。その被害者は、急成長中のIT企業の役員。次期社長とも言われていた男。営業畑を歩き、時に強引なこともしており、トラブルの線は考えられるが、しかし、ホストとのつながりが見えてこない……
という風に書いたのだけど、実のところ、作中では犯人視点の物語があり、そこである女性がその中心であることは示される。さらに、その女性から、塔子の元へと電話が行くことにも。
その意味で言うと、塔子たちが物証から犯人へ……という形ではない。付きまとっている人間がいる、というその女性の証言。しかし、その女性はなぜか、その付きまといの相手のことは口を噤む。犯人と女性はどういう関係なのか? 犯人視点である程度の構図は見えてく中で、その謎がメインになっていく。しかも、犯人は塔子のことを意識し、彼女のことを襲ったりもするだけに。その意味では、フーダニット部分をメインに添えた話のように感じられる。
ただ、今作の犯人の正体に関しては、作中に出てきた誰なのか? という部分はともかくとして、関係性はある程度、(読者には)絞りやすいんじゃないかと思う。自分の場合、ちょっと深読みしすぎた部分もあるのだけど……。その意味では、比較的、わかりやすい話かもしれない。
ただ、先に書いたように、事件をプロデュースする存在が表出し、しかも、塔子にもコンタクトを。その部分で俄然、緊張感が高まっただけに本格的な対決に期待したいところ。

No.6928

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Tag:小説感想麻見和史

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