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マーダーでミステリーな勇者たち

著者:火海坂猫

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長い旅路、激しい戦いの末、勇者一行はついに魔王を討伐した。これでようやく世界は平和に……。そんな想いと共に魔王城で休息をとる勇者たち。だが、そんな思いもつかの間、翌朝、発見されたのは聖女の遺体。犯人はこの中にいる?
これ、思うんだ……目次が思い切りネタバレになっている、と……
それはともかく、物語は、魔王討伐に成功した翌朝、仲間の一人である聖女が何者かに殺された。そこで、勇者は、仲間たちに事情を聴き、聖女を殺した犯人は誰なのか? というのを探っていく、という流れ。
この作品、読んでいて何よりも思うのは、世界観、世界設定というのをしっかりと構築してきた作品だな、ということ。世界に魔王が現れ、支配を目指して侵攻してくる。そんな人類の危機に対し、普段は諍いの絶えない国々は聖剣に選ばれた勇者を支援すべく協力をする。だが、魔王を倒した後は……?
世界の危機に対して、聖剣とか、神とかに選ばれた勇者が立ち上がる。これって、本当に最初のころの『ドラゴンクエスト』とか、昔のRPGの定番と言えるような設定。ただ、その頃から思っているのは、なんで少人数の勇者一行だけで旅立たせるの? っていうこと。もっと軍隊とかを組織して、武器や防具を提供して、ってやればいいやん! そう思ったことがある人は私だけではないはず。
けれども、「国」という単位を考えると……
魔王を倒す。そこまでは良い。けれども各国は、それぞれ自分たちの利益を追求する存在。軍隊などを派遣し、そこに損害が出ればそれは大きく国力を失っている、ということ。まして、勇者という最強の戦士がどこかに加われば……。勇者一行に加わる騎士、魔法使い、武闘家……それぞれに課せられた国益を求める別命を課せられている。そして、同時に彼女らは、勇者に対する純粋な想いも抱えて……。その中で、ある意味では妥協点と言える存在が聖女だった。その聖女が喪われ……。いかにも王道な魔王討伐モノ、のスタートから一挙に現実的な国益争いなどの話へと移ろっていく流れが秀逸。
まぁ、一応、ミステリらしくアリバイとか、そういうのはあるけど、誰が犯人なのかは早い段階で気づくと思う。そこから、今度は、ファンタジーだからこそのひっくり返しへ。ここはちょっと強引な気がしないでもない。
ただ、勇者一行が魔王討伐へ。そんな昔ながらのRPG的な設定を上手く物語に落とし込んだ流れは好き。

No.6932

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Tag:小説感想GA文庫火海坂猫

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