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セピア×セパレート 復活停止

著者:夏海公司

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3Dプリンターの進化により、バックアップから生命を再生できるようになった時代。そのシステム・ギズモの運営会社で働く園晴壱は、突然の異動辞令を受けた直後に意識を失う。その後、バックアップから復活した彼だが、なぜか「死亡」直前の記憶を失っていた。面会に来た保険調査員のウロから保険金詐欺として債務返済を迫られた直後、ギズモが停止。その犯人として晴壱は指名手班をされてしまって……
これは、かなりガッツリとSFをしてきたな、という印象。
最初に書いたように、記憶などをバックアップとして残すことにより、事故や事件などで死亡したとしても復活ができるようになった社会。その社会の根幹と言えるギズモが突如、停止してしまう。混乱する社会。その中で晴久はテロリストとして追われる立場になり、逃亡をしながらも、自らの冤罪を晴らすための冒険が始まる。
記憶がバックアップできるからこそのギミック。ギズモの運営に関わる関係者との邂逅。さらに、晴壱がかつて憧れたギズモ以前に壱時代を築いたクラウドサービスの開発者・荒島セピアの存在。それぞれに思惑があり、だんだんとそのセピアがギズモを停止させた本人らしい、ということが判明していくのだが……
荒島セピアというのが一体、何者なのか? という彼女の正体。かつて、春壱の才を評価し、面会しよう。そういってくれ、しかし、現在は姿を消した彼女はどこにいるのか? 晴壱から消えた記憶の中に何があったのか?
裏切りとか、策略とか、そういうものが次々と明らかになり常に息をつかせぬ展開で翻弄される中で出てくる問い。それは「人間とは何か?」という問いかけ。人間に限らず、生物は生きる環境に適応していく。何か新たな技術などが出来れば、その技術を操るために特化した技能を伸ばしていき、逆に不要となった技術は見捨てるようになっていく。例えば、「火を起こす」ということだって、現代の人であれば、ガスとか電気とかが発達しているし、何ならライターとかだってある。だから原理そのものは知っていても、何もないところで火起こしができる、という技術を持っている人は少ないはず。そんな感じで。「火を起こす」ですら、人間の行動に大きな変化をもたらした。では、この世界では?
終盤で明らかになる「人間とは?」という問いは、その究極のところだろう。
ネタバレが怖いので、曖昧な言葉が多くなってしまい、ちょっと読みづらい文章になった気がするのだけど、技術の進歩という中での、その問いかけが強く印象付けられた。

No.6969

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