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(書評)QED 鬼の城伝説

著者:高田崇史

QED鬼の城伝説 (講談社文庫 た 88-14)QED鬼の城伝説 (講談社文庫 た 88-14)
(2008/03/14)
高田 崇史

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鳴ると凶事が起こるという鬼野辺家に伝わる釜。その釜が鳴り、実際に長男が蔵の中で首を切られて殺された。迷宮入りした事件の取材も兼ねて岡山へと向かう奈々たち。遅刻の崇を置いて、各所を見る奈々たちだったが、鬼野辺家で再び…
シリーズ第9弾。今回のテーマは、桃太郎…というところになるのだろうか。
今回の物語の最大の特徴は、崇がなかなか出てこない、というところだろうか。最初にも書いたように、今回、崇は岡山へと「遅刻していく」という格好。そのため、鬼の城など、多くの場所の案内は、小松崎を呼び寄せた二人の女性によるものになり、崇の出番は物語の半分以上を過ぎたところで。なんか、そのあたりの構成は、京極堂シリーズあたりのような印象を受けた。そして、ちょっと話を聞いて、歴史に絡めて解決してしまう、というあたりに関しても。
桃太郎のおとぎ話に込められた話。お供である猿、犬、雉とはいったい何なのか? 温羅伝説から読み取れるものは? そういうところが物語の発端になる。ある意味、今回語られるものは、これまでのシリーズで語られたものの応用編とも言える。騙りなどを用いた伝承。そして、その伝承によって、意識づけられたもの。確かに、と感じるところはある。
一方での殺人事件。蔵の中で起こった事件。それに続く連続殺人。その事件のトリックは? そして、犯人、動機は? 密室トリックなどは、「わかってみれば…」ではあるのだが、そこまできっちりと論理的に描かれているし、また、そこにも先の騙り、意識づけられたもの、という形になっていて、なるほど、と思わされた。
ただ、やっぱり、二つの間に乖離している部分、というか、無理矢理くっつけた、という感を受けざるを得ない部分はある。一応のリンクはされているものの、事件そのものがあまり重要とは思えないし、それで主題がぼやけている感はある。もうちょっとうまくリンクさせてほしいとどうしても感じる。もしくは、事件がなくても良いのでは? と。
歴史の謎解き、事件のトリック…という双方とも単独ではなかなか面白いと感じただけに、逆に乖離が煩わしく感じられてもったいないと思う。

通算1323冊目

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  • 今回の舞台は岡山。 桃太郎とか鬼とかそういうのがテーマ。 で、例によって歴史の謎と殺人事件の謎との乖離が甚だしい。 今作は祟が全然出て来ない。 京極堂のような焦らしっぷり。 でも京極堂シリーズと違って、こっちは祟がいないと話が進まないのよ。 序盤は彼...
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