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キャプテンサンダーボルト

著者:阿部和重伊坂幸太郎

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「ゴシキヌマの水をよこせ」 突如として、謎の外国人に狙われることになった相葉時之。何とかその場を逃げ出し、飛び込んだ先は小さな映画館で……。「「副業」として、子供のころに放映されていた戦隊ヒーローについて調査をしている井ノ原悠。その調査の最中、彼もまた小さな映画館へたどり着く。相葉、井ノ原、小学校時代の旧友は再会し、ともに謎の外国人、さらには政府にまで追われることとなって……
純文学方面で活躍している阿部氏と、エンタメ作家として活躍している伊坂氏がタッグを書いての共著作という軽先を持つ本作。正直なところ、私自身は阿部氏の作品……どころか、阿部氏自体についてよく知らなかった。そして、もし、阿部氏の名前がクレジットされていなかったら、「いかにも伊坂氏らしい作品だな」とか感想を書いているんじゃないかと思う。逆の立場だったらどうなるのかわからないけど。
物語としては、冒頭に書いた通り、主人公コンビの片割れである相葉が、謎の外国人に狙われるようになる、というところから。そもそもこの相葉。直情的で、何かあれば猪突猛進で行動をするタイプ。その結果、大きな借金を背負い、そんな苦しさ。さらに友人が「健康になれる水」に騙されて大金を失ったことから、その相手に復讐を、として企んだこと。しかし……。一方の井ノ原もまた投資の失敗などで借金がかさみ、OA機器のリースをする会社で働きながら、そこに仕込んだ機械で情報を盗み出す「副業」にいそしむ状態。そんな中、戦隊ヒーローに関する調査を依頼され、そこで相葉と再会し、事件に巻き込まれることに。
文字通り、周囲を破壊することもいとわずに襲ってくる謎の外国人。その一方で、「ゴシキヌマの水」にかかわったことで、危険な病である「村上病」の患者としてとらえようとしてくる政府関係者。外国人と政府関係者が手を組んでいるのかどうかわからない。しかし、敵だらけ、という状況。そんな中、戦隊ヒーローものに関する情報収集を井ノ原に依頼した女性・桃澤も物語に加わってくる。
謎の病「村上病」。蔵王連峰の火口湖・御釜の水によって引き起こされるという病。それは非常に毒性が強く、日本の人々には予防接種が施されるほど。しかし、そんな生物がすめないはずの湖に見えた異変。それを隠そうとする政府の陰謀。予防接種を受けているし、病状がないにもかかわらず、感染者と報道されることとなった相場……。一方で、そんなゴシキヌマの水を求めて動く側のそこにあるものは一体、何なのか? 伊坂氏の過去作で出てきたテーマなんかを色々と踏襲しつつ、しかし、あくまでも追うものと追われるもの、という構図を崩さずにエンタメ作品に徹して描いていく形になっている。
正直なところ、感染力、とか、そこに対するアレコレっていう部分は、2020年からの新型コロナウィルス感染症をめぐっての出来事を目の当たりにしただけに、本作が発表された時以上に身近に感じられる部分があるような気がする。反ワクチンの主張とかと、相葉、井ノ原らが理解していくものに共通点とカを感じるし。流石に、新型コロナウィルスワクチンに関して、こんな陰謀だとは思えないけれども、信じる人は信じそうだな、なんていうのは感じる。題材としては、先を行っていた、ということも言えるんじゃないだろうか?
第二次大戦時の陰謀から、戦後の政府の陰謀から、はたまたテロリストによる策略へ……。いろいろと話、風呂敷を広げながらも、しかし、物語の流れは非常にわかりやすく、テンポも良い。非常にうまくまとめ上げられたエンタメ作品だな、というのを何よりも思う。
楽しかった。

あと……相葉についてきた犬。プロ野球の外国人助っ人の名前で……で、ずっと「ポンセ」と呼ばれ、しかし、相葉にはなついていなかったんだけど、最後に実は別の名前だったと判明とか、そういうのを期待していたのだが、そこがなかったのは残念かな?

No.7012 & No.7013

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Tag:小説感想伊坂幸太郎阿部和重

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