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(書評)ハンプティ・ダンプティは塀の中

著者:蒼井上鷹

ハンプティ・ダンプティは塀の中 (ミステリ・フロンティア)ハンプティ・ダンプティは塀の中 (ミステリ・フロンティア)
(2006/12/21)
蒼井 上鷹

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7月某日午後3時過ぎ。鉄の扉が閉まり、和井は、留置場の住人となった。そこには先客が。部屋長のデンさん、作詞に余念がないノブさん、そして、マサカさん…。留置場を舞台とした連作短集。
留置場、警察に逮捕された人が、取り調べを受けるまで入る場所。冤罪が証明されるか、起訴、もしくは不起訴が決まるまで、そこに留め置かれる…。
留置場ということで、人々の入れ替わりも多い。その人には、色々と陰があり、また、周囲でも色々と…。そんなエピソードに対して推理が進む。けれども、そこは留置場。入っている者に自由はない。自然、そこは安楽椅子探偵のような形になる。そして…
こういう風に書くと、安楽椅子探偵の本格推理、という印象がある。けれども、この作品の特徴は、入っている人は犯罪者である、という点。彼らの語るエピソードそのものに、色々と後ろ暗いところがある。嘘がある。その前提で考えなければならない。そして、そんな嘘を見極め、真相を探る「マサカ」…。そういう状況なので、本格ミステリのように見えながら、実は凄く変化球。そんな印象を持つのである。そういう部分では、実に舞台が活きている。
ただ、結構、とりとめのない会話・描写などが多く、事件そのものがどこから始まるのか、どこから本題なのか、がわかりづらく、いくつかの物語は本当に「推論を出しただけ」で終わるのがちょっと気になる。全体的に、オチが弱いように感じるのである。また、事情があるにせよ、探偵役のマサカのそっけない部分がそれに拍車をかけている。
アイデアが面白いだけに、もう少し練れていれば、さらに良い作品になったのではないか、と感じた。

通算1327冊目

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