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(書評)とってもカルディア

著者:岡嶋二人

とってもカルディア (講談社文庫)とってもカルディア (講談社文庫)
(1988/06)
岡嶋 二人

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突如、信州の田舎から現れた学生時代の友人・秋本。貞夫の元に転がり込んだ彼は、タクシーにカメラを忘れた、と、緒方の家にあった美郷を持って行ってしまう。翌日、貞夫と美郷の前にその姿を見せた秋本だったが、それ以来、彼の姿は消えてしまう。一方、緒方たちの元には、「消えた死体」という話が転がり込んで…
三度目ならばABC』の貞夫&美郷コンビが活躍する長編作。
前作、『三度目ならばABC』もそうなのだけど、相変わらず、貞夫の優柔不断さ、というか、引っかき回されっぷりが見所(笑) 冒頭、いきなり現れた学生時代の友人・秋本に押し切られるところから始まって、美郷の脈絡のない推理(?)に振り回されながら2つの事件に挑むことに。
失踪した友人と、プロダクションへと持ち込まれた「消えた死体」という情報。常識的に考えて、それらに関連性があるとは思えない。けれども、それを強引に結びつける美郷に押し切られて調査してみれば、少しずつそれが、本当に関係している、というのが明らかにされていく。そして…
正直言って、現在のカメラと言えば、デジタルカメラが主流となった今、タイトルにもなっている「カルディア」という特殊なカメラが端緒になる部分はどの程度理解できるのだろうか? と疑問に思えるところはある。2つの事件の関連づけに関しても、ちょっとご都合主義というか、強引というか、そういう風に思える部分もある。けれども、好奇心旺盛で何にでも興味を示す美郷とそれに振り回される貞夫のやりとりの魅力は相変わらず。物語の、二転三転具合も相変わらず、と良さは十分に生きている。
やっぱり、安定して楽しめる、解説の結城信孝氏ではないが「都合の良い」作家なのだな、と感じる。

通算1333冊目

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