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2008/08/03 (Sun) 17:07
(書評)対話篇

著者:金城一紀

対話篇 (新潮文庫 か 49-1)対話篇 (新潮文庫 か 49-1)
(2008/06/30)
金城 一紀

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『恋愛小説』『永遠の円環』『花』の3編を収録した短編集。
物語の中心となるのは、タイトルのままでもある「対話」。二人の人間の間で交わされる会話を中心にして物語が展開される。そして、それぞれのエピソードに微妙な繋がりがある。
大学の最後の試験の日に出会った者との会話を描いた『恋愛小説』。彼が背負った過酷な運命。その中で出会った女性との関係。過酷な運命を知りながら、その中でも、それだからこそ最期まで彼を愛した女性の姿が美しく、悲しい。ファンタジーに近い部分ではあるのだけれども、とにかく「美しい」という感想だけが残った。
一方で、病に冒され、余命幾ばくのない僕が、見舞いにやってきたKに、ある人物を殺す手伝いをしてほしいと願う『永遠の円環』。ある意味では、『恋愛小説』とは、逆の状況。その中で、愛した女性を失った悲しみと、最期まで残る復讐心。その話を聞くKのぶっちゃけた言葉。最期まで残っていたはずの気持ちを遂げたはずなのに、なぜか残る気持ち。こちらは、その最期に感じるのは、「むなしさ」「哀れさ」のような、何とも苦い感情。
いつ爆発するかわからない動脈瘤を抱え、仕事を辞めた僕。そんな僕に、ある弁護士を鹿児島までともに車で送ってくれ、という依頼が入る。鹿児島までの道中、二人が語るのは…(『花』)
3編の中でもっとも分量のある本作で語られるのは、弁護士と彼が28年前に別れた妻との思い出。すでに記憶からも失われつつある過去の出来事。それを少しずつ思い出していく。それを、動脈瘤により、自らの記憶が失われる恐怖を抱えながら聞く僕。そして、たどり着いたホスピスで、妻の遺していたものの意味するもの…。
それぞれのエピソードに「死」という影がつきまとい、その周囲で人々の想いが交錯する。それぞれ、決して楽しいだけでも、悲しいだけでもない、複雑な状況がある。そんなだからこそ、感じる「美しさ」「綺麗さ」を感じる。言葉として書くと、凄く陳腐で簡潔だけど、そういう風に素直に思えた作品だった。

通算1338冊目

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