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(書評)グリズリー

著者:笹本稜平

グリズリー (徳間文庫 さ 34-1)グリズリー (徳間文庫 さ 34-1)
(2007/02)
笹本 稜平

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釧路で起きた弾薬強奪事件。かつて、SATとして一人の男を射殺した過去を持つ城戸口は、その犯人の一人であった折本から奇妙なメールを受け取る。一方、東京では、かつての左翼活動家が次々と爆弾で殺害される事件が起こり…
うん、面白かった。
第1章を読むと、城戸口が主人公のように思えるし、その後は、様々な視点から物語が展開。一人一人の物語、一人一人が抱えたものなども描かれるわけだけれども、紛れもなく主人公は、「グリズリー」こと、折本の物語なのだと感じる。
左翼活動家に対する爆弾事件。公安と刑事部の協力体制で臨む捜査。しかし、そこには両者の壁も存在。見えない犯人像。そんな、捜査をあざ笑うかのように起こる事件。そして、おぼろげながら見えてきた容疑者と、そこに絡む「Nプラン」という謎の計画。さらに、本格化していく折本の計画。
とにかく、序盤は警察、公安といったものをあざ笑いながら動く折本と、「Nプラン」の謎を中心に展開。それが判明した後に始まるのは折本による「たった一人でアメリカへの宣戦布告」。折本を動かす物と、その結末へ…。めまぐるしく動く物語と、折本の「凄さ」に最後まで一気だった。
かなり面白かったのだけれども、あえて気になったところを挙げると、キーパーソンになる女性・ファービの人物像がちょっと都合が良すぎるかな? というところと、城戸口の扱いが中途半端だったかな、という部分。あくまでも「敢えて」挙げた場合なのだけど。
素直に面白い、と言える作品だと思う。

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