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(書評)カレンダーボーイ

著者:小路幸也

カレンダーボーイカレンダーボーイ
(2007/11)
小路 幸也

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小学校時代にタイムスリップした。幼なじみのタケちゃんと二人。やけにリアルな夢だと思ったが、安斎も同じことが起こっていた。48歳の現在と、10歳の過去。二つの時間を往復しながら、二人はある計画を始める…
過去で何かをすれば、現在に変化が起こる。ただし、変えたのと同じような別の変化が起こる、という「歪み」を伴って。当然、大きなことを起こせば、それだけ「歪み」も大きく。けれども、三都はどうしても変えたい過去がある。それは、クラスメイトである里美ちゃんの一家が心中して死んでしまうのを防ぐこと。一方で、安斎も事情があって、大金が必要に。そのため、過去の大事件・三億円事件を変えることに…
タイムスリップというテーマの物語。それ自体は、よくあるテーマ。けれども、この作品の場合、その設定そのものがずいぶんと凝っている。そんなことをまず感じずにはいられない。
2006年、48歳になった三都と安斎。二人は、大学の教授と事務員で幼なじみ。現在で眠ると過去に戻り、過去で眠ると現在へと戻る。その繰り返し。過去は後に大学教授になる三都の視点で、現在は事務員となる安斎の視点で物語が展開する。
過去に戻っても、中身は48歳という二人の行動。色々と気をつけても、どうしても不自然なところは残ってしまう。けれども、そんな二人の活動を何も聞かずに応援してくれる三都の姉、祖父、ホームレスのガンガン、佐久間さん…。そんな人々の姿は、他の小路さんの作品同様に、暖かさに満ちあふれる。そして、そんな人々の応援に支えられながら、「歪み」による変化の恐怖を抱えながらも、進んでいく二人の姿も印象的。そして…
この結末というのは、「ルール」からすれば、仕方がないのかも知れない。けれども、何とももの悲しい、寂しい、切ない結末。確かに、歴史は変わった。二人もちゃんと生き残った。しかし、だからこその永遠の別れ…。覚悟の上、とは言っても…。
もうちょっとラストに向けてのジレンマなどを書き込んでも良かったかな? とは思うが、ただ暖かいだけでない、この切ないラストシーンは、著者ならではのものではないかと思う。

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COMMENT 6

ちきちき  2008, 08. 09 [Sat] 21:26

TBありがとうございました。
確かに、ラストに向けての葛藤がもっと深く突っ込んで書かれてても面白かった気がします。
このラスト、私は結構嫌いじゃないですが。

Edit | Reply | 

たこやき  2008, 08. 11 [Mon] 08:08

ちきちきさんへ

コメント、ありがとうございます。
いや、私も嫌いではないです、このラスト。むしろ、好きだから、より良くなかったかな? と思ったくらいで。
でも、タイムスリップの「ルール」と言い、かなり独特の意欲作だったと言うふうに思います。

Edit | Reply | 

藍色  2008, 08. 12 [Tue] 01:02

最悪の想定「死」は免れましたが、
ふたりの別れが切なかったです。

こちらから、TBさせていただきました。

Edit | Reply | 

たこやき  2008, 08. 13 [Wed] 20:45

藍色さんへ

逆に「死」ではないからこそ、の切なさですよね。
私はむしろ、「死」ではない分、逆に残酷なのかな? という風にも思いました。目の前にいる、という分、常にそのことを突きつけられるわけですし…

どちらが悪いのか、は何とも言えないですけどね。

Edit | Reply | 

藍色  2008, 08. 15 [Fri] 01:50

こちらから、TBさせていただきました。
TBお待ちしています。

Edit | Reply | 

たこやき  2008, 08. 15 [Fri] 14:29

藍色さんへ

TBありがとうございました。
早速、TBさせていただきますね。

Edit | Reply | 

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