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2008/08/15 (Fri) 15:52
(書評)旅に出よう、滅びゆく世界の果てまで。

著者:萬屋直人

旅に出よう、滅びゆく世界の果てまで。 (電撃文庫 よ 4-1)旅に出よう、滅びゆく世界の果てまで。 (電撃文庫 よ 4-1)
(2008/03/10)
萬屋 直人

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「喪失症」 原因不明の病が蔓延し、少しずつ滅びつつある世界。そんな世界を、スーパーカブを駆って世界の果てへと進む少年少女。そんな二人の進む先にあるのは…
締め切り間近ということで、細かい物語も、主人公の名前も決めずに書き始めた、という著者のあとがきがあるわけだけれども、本作の特徴はその世界設定にあるのだろうと思う。「もし世界が滅びるなら何をしますか」ではなく、「もし、世界に自分の痕跡が残せないというのならば何をしますか」という問いかけ。
「喪失症」 その人の記憶が少しずつ失われていく。最初に名前が、そして、髪の色、肌の色が失われていく。そして、その人の記録すらも…。喪失症は、大体、その進行がわかる。けれども、その速度は人によって異なり、ある日、突然、消えてしまうことも…。とにかく、そんな世界設定が、何よりも巧だと思う。
物語そのものは、そんな世界を旅する中で出会う人々と二人のやりとり。喪失症になったことで、かえって、自分のやりたいことを始めた男、仲間との夢が失われてしまった男、そして、全てを諦めつつも救いと感じる少女。そんな人々とのやりとり。色々とありながらも、決して暗い、というわけではない。派手さはないし、どちらかと言えば地味だけれども、そういうところに、人間の力強さのようなものを感じる。

通算1352冊目

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