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(書評)借金取りの王子

著者:垣根涼介

借金取りの王子借金取りの王子
(2007/09)
垣根 涼介

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リストラ請負会社に勤める村上真介。百貨店、保険会社、サラ金…今日も、別の企業へと向かい…。
君たちに明日はない』の続編に当たる作品。
前作は、首切りの対象となる人物と、真介のやりとりがメインであったものの、今回は、またちょっと毛色が異なる。今回、やりとりはあるものの、そこもあまりメインとは言い難い。
会社の中で何らかの形で行き詰まっている人々。その人々の前に現れるリストラ請負会社の真介。真介自身、決して、その主役となる人々の首を切ることを目的とはしていない。けれども、そのちょっとした接触によって変わる意識、状況。それを受け、どういう決断を下すか…。それらが語られる。
今作の場合、そんな感じなので、結構、真介そのものがあっけに取られる展開があって面白い。1度目の面接の結果、どうすれば、辞めるだろうか、と思っていたら。突然、辞めます、となってしまったり。その接触で勝手に絶望してしまって、困惑したり…。あくまで、真介は、続けて出てくる「きっかけ」というのを感じる。
そんな中で、最後の『人にやさしく』は、他の編とは違い、真介と恋人・陽子の物語。真介の会社が始めた人材派遣に対する陽子の依頼。その依頼に、真介が出した回答…。二人の関係などが良く現れたエピソードだと思う。
なんか、陽子と真介の上司・高橋の関係が出てきたり、で、そっちが妙に気になる終わり方ではあるんだけど…。

通算1363冊目

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COMMENT 2

きりり  2008, 08. 27 [Wed] 10:13

上司・高橋気になります 一波乱?(笑)辞めてほしい人ほど辞めず、辞めて欲しくない人ほど辞めちゃうと言うのを踏んでると思います..ってそんな簡単な事ではないのでしょうが
他のシリーズと違って、笑わせたり泣かせたりで楽しめた本でした

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たこやき  2008, 08. 27 [Wed] 17:52

きりりさんへ

他の垣根さんの作品とは、明らかに毛色が異なりますよね。
高橋や真介のからっとした性格なんかは、他の作品のラテン気質な面々と被るんですけど、全体的な雰囲気とか、そういうところが…。
陽子が高橋のことが気になったり、とか、そちらでも物語が動きそうですよね。

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  •  垣根涼介「借金取りの王子」
  • もうダメ 私だって限界よ! 働く私のリアルを描く、恋と仕事の傑作小説! ん~なかなか面白い 私だって...って言うところが良い なんでもかんでも仕事を頼まれて、ブラックホールのように 仕事を吸い込んでいくような仕事の仕方をする奴がいる 取りあえず、あ?...
  • 2008.08.27 (Wed) 10:10 | 聞いてあげるよ君の話を
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  •  借金取りの王子 垣根涼介
  • 装画は井筒啓之。装幀は新潮社装幀室。初出「小説新潮」。 連作短編集。「君たちに明日はない」の続編(既読・記事は未アップ)。 主人公...
  • 2008.08.28 (Thu) 02:26 | 粋な提案
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  •  借金取りの王子/垣根 涼介
  • 垣根涼介さんの「君たちに明日はない」シリーズ、第2弾「借金取りの王子」を読み終えました。主人公の村上真介は、相変わらず企業のリストラを請け負う仕事をしています。
  • 2013.02.03 (Sun) 10:35 | 日々の記録