著者:笹本稜平
兄が自殺して6年、章人の元へやってきた弁護士は、その兄に関するあることを告げる。自殺の3日前、兄は結婚していたこと。確執のあった父に対し、兄は1億5千万もの保険金をかけていたこと。そして、兄が何者かに殺害された可能性があることを…
何とも複雑な構造を持った作品。家の暴君として、兄弟に対して支配的に振る舞っていた父。不自然な死をした母と、その後にやってきた義母。兄の死、に、それを契機に出世した元警官。さらに、章人の元へと事件を持ち込んだ弁護士に、何かを隠している家政婦…。
物語の導入部としては、父と兄、という二つのところが焦点になるのか、と思いきや、読み進めれば読み進めるほどに、それぞれの思惑が複雑に交錯していることが判明していく。謎、というよりも、心理戦。それぞれの思惑の中で動き、そして、それらが絡み合っていく。しかも、読めば読むほど、それらが混乱していく様は見事。終盤、物語の結末は見えても加速した展開に引っ張られて最後まで一挙に読めた。
やや、ちょっと駆け足気味と感じるところはあったのだが、それでも十分に面白かった。
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テーマ : ブックレビュー - ジャンル : 小説・文学
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