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2008/06/29 (Sun) 12:20
(書評)荒野

著者:桜庭一樹

荒野荒野
(2008/05/28)
桜庭 一樹

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山之内荒野、12歳。いつも、周囲に女の人の姿が絶えない「恋愛小説家」の父と、年齢不詳の家政婦さんと暮らしている。中学の入学式の朝、電車の中でその少年と出会った…。12歳〜16歳、荒野の多感な時期を描く。
ファミ通文庫で発表された『荒野の恋』第1部、第2部に、書き下ろしの第3部を加えた作品。
ジャンルとしては、青春小説、成長物語…なんていう言葉があてはまるのだろうけれども、よく言われる「甘酸っぱい」とか、「ほろ苦い」とか、そういう表現があまりピンと来ない印象がある。あえて言うと「瑞々しい」になるかも知れない。
語り口だとかは、『赤朽葉家の伝説』などと同様、非常に淡々と日常を描くスタイル。
身体的なところであったり、はたまた、これまで気づかなかった父とその周囲の女性たちの間に垣間見えるものであったり、はたまた、同世代の友達の中であったり…それぞれちょっとしたこと。けれども、着実に子供から大人へ、少女から女へと変わっていく。それは、周囲からすれば一歩引いた感のある荒野にも。
本当に、少女・荒野の日々が描かれているだけ、なのだけれども、荒野と父の周囲の人々(女性)を巡る部分、同世代の友達との比較、悠也との関係…そういうところで一歩ずつ成長が見えてくる、というのが何よりも新鮮。それぞれは些細なこと、些細なことなのだけれども、それが却って、瑞々しさ、そして、着実さを感じさせるのではないか、というような気がする。ああ、上手く表現できない(苦笑)
桜庭さんの作品の「少女」と言うテーマは、様々な切り口がなされていたわけだけど、本作は、その中でも相当に「地味」で、でも、「共感」しやすいものになっているのではないかと思う。勿論、人それぞれに経験の違いはあるのだろうけど、誰しもが経験すること(男女の違いとかはあるにせよ)、誰もが身近にあるものだから。
瑞々しい時代を着実に描いた佳作、と言う風に感じる。

通算1297冊目

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2008/06/24 (Tue) 19:27
(書評)眠り猫 奥絵師・狩野探信なぞ解き絵筆

著者:翔田寛

眠り猫 (幻冬舎文庫 し 23-1 奥絵師・狩野探信なぞ解き絵筆)眠り猫 (幻冬舎文庫 し 23-1 奥絵師・狩野探信なぞ解き絵筆)
(2007/02)
翔田 寛

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狩野探信守道。将軍・徳川家斉に使える奥絵師にして、鍛冶橋狩野家の若き跡取り。しかし、家斉の前での席画の題材選びに今は苦悩していた。そんなとき、彼の元へ持ち込まれた一枚の幽霊画。初恋の女性・美津の亡き父が描いたその絵と死の関係。そして、幽霊騒動。席画そっちのけで、絵の真実を探ることにしたのだが…
こういう言い方が適切かどうかはわからないのだが、非常にシンプルなミステリとして仕上がっているな、と言うのが第一印象。
一枚の幽霊画。非常に迫力のあるその絵は、文字通り、迫真の作。しかし、その作者は不可解な死を遂げ、その周囲では幽霊騒動が起こっている。さらに、その行動を追った先にあったのは、歌舞伎役者・伊勢蔵を巡ってのこれまた幽霊騒動。しかも、3年前に、やはり周囲で不可解な死を女が遂げている…。一見、関係のなさそうな2つの幽霊騒動と、2つの死。その背景にあるもの…。
舞台が江戸時代で、一応、時代小説、と言う形ではあるものの、それほど設定であるとかが難しい、などと言うことはなく、気軽に読むことが出来ると思う。また、テンポそのものも非常に良く、スラスラと読むことが出来た。これまで2作ほど、著者の作品は読んできたが、一番、すんなりと物語に入ることが出来た。
ミステリとしてのなぞ解きに関しては非常に手堅い。あまりに手堅いために、逆に印象に残りづらい部分があるかも知れないが、そこに文句を言うのはただの言いがかりだろう。
煽り文句に「新シリーズ第1弾」とあったり、作中でも、他の派閥とのいざこざの種があったり、とシリーズそのものの伏線になりそうなものは沢山用意されたままになっている。是非とも2作目も出して欲しい。

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2008/06/23 (Mon) 01:38
(書評)ANGEL+DIVE

著者:十文字青

ANGEL+DIVE (1) (一迅社文庫 (し-01-01))ANGEL+DIVE (1) (一迅社文庫 (し-01-01))
(2008/05/20)
十文字 青

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1990年、北海道の小さな町。温厚で素直、素直すぎて、自らへの悪意すら、そのまま受け入れてしまう少年・夏彦は、トワコという不思議な少女と出会う。「自分を忘れて」と言うトワコだが、彼は、彼女が気になり…
とにかく、素直すぎて、全てを受け入れてしまう少年・夏彦が、謎の少女・トワコを探す物語、と言うのが内容を端的に表した形なのだけど…この雰囲気をどう言い表せば良いのかな? と言う感じになってしまう…。
淡々と描かれる日常。そこで出会った不思議な力を持つ双子・真島姉妹に、陰猫師を目指す希有とのやりとり…。猫まっしぐらな希有の力とか、ギャグもあるんだけど、それらを超越して夏彦の独特の雰囲気が印象的。全てを受け入れ、素直にその通りに振る舞ってきた彼が、そこから外れてトワコを探すことにした。それは、トワコの寂しそうな顔…。
終盤、不思議な力が出てのバトル…とか、そういうのもあるんだけど…やっぱり、素直な夏彦の想いとかの方になるよね、注目は。それだけに、二人の出会い、そして、最後、97年の激変した夏彦が気なる…。何があったのか?
素直な夏彦の魅力が気になる本編、そして、97年の夏彦。ひきつけるものはあるな…これ。

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2008/06/21 (Sat) 14:18
(書評)学校裏サイト 進化するネットいじめ

著者:渋井哲也

学校裏サイト――進化するネットいじめ(晋遊舎ブラック新書 6)学校裏サイト――進化するネットいじめ(晋遊舎ブラック新書 6)
(2008/04/05)
渋井 哲也

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07年7月、神戸市の私立高校の男子生徒が飛び降り自殺した。その背景には、ネットを用いたイジメが存在していた。「学校裏サイト」、近年、注目されるそれについての実態、対策などについて考察する書。
本書は、第1章で、「ネット問題」に関する推移から、「学校裏サイト」の利用状況。第2章で、学校、行政、サイト運営会社などの取り組みについて紹介し、第3章で、「群集心理」などからネットの特徴を考えながら著者の考えを記す、と言う構成になるだろうか。
読んでいてまず感じるのは、非常に冷静な分析がされている、と言うことだろうか。この手の書籍ではしばしば「ネットという特性が悪い」と言うようなものを見かけるのだが、ネットに関する著作の多い著者らしく、冷静に見ているところに好感を持った(裏サイトという名を広めた、群馬大・下田教授のインタビューもあるが、本書を読む限り、著者の方が冷静に分析しているように感じる)
ネット問題の推移から実態などについては、昨今、様々な報道などがあったためか、それほど目新しいものがある、とはいえない。ただ、先にも書いたように、ネットが悪、と言うようなスタンスではないため冷静に知ることが出来ると思う。そして、一方での対策が後手後手に回り、また、その背後に大人の側の知識不足などがある、と言うこともしばしば指摘されていることではある。
本書で示される「対策」とは、知識を身につけ、対策案についての事例を蓄積すること、と言うもの。人によっては、煮え切らない、と言うような印象を受けると思う。しかし、「ネットではない」イジメにしても、根絶は出来ていないこと、などを考えれば、著者の指摘するようにただフィルタリングなどをしたところで「地下に潜らせる」だけ、と言うのは容易に想像できる。その意味でも、私には納得の出来るものであった。

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2008/06/16 (Mon) 20:12
(書評)マネーロード

著者:二郎遊真

マネーロードマネーロード
(2008/05/16)
二郎 遊真

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相手の金銭に対する欲望、想いを見ることの出来る男・達郎。その能力で莫大な富を作り、様々な伝説を作ったものの、一方でその能力ゆえに、今はホテルに引きこもっての日々を送る。そんなところへ届いた1枚の旧紙幣。思い出の紙幣を前にした彼の前に、ある取引が持ちかけられる。達郎は、懇意のホテトル嬢・カズキと共に、紙幣の流れを追う…。
第39回メフィスト賞受賞作。
読んでいてまず思ったのは、「あれ? こういう話?」と言う驚き。カバーや、出版社のサイトの説明文、さらには、タイトルなどから、もっと金融小説、経済小説と言ったものとか、はたまた、新堂冬樹氏のようなダークな金を巡る物語を予想していたのだが、殆どそういうものがなくて逆に驚いた。
冒頭のところにも書いたけど、物語の中心となるのは、達郎とカズキの紙幣の流れの追走劇。4年間、ホテルから全く外に出ずにいた達郎。そんな達郎が、流れを追い、自らのルールを探り、少しずつ変化していく。達郎をそんな行動に動かすことになった沢谷の狙いとは…?
物語そのもののテンポの良さ、少しずつ変化していく達郎、そして、カズキの気持ち。そういうところで、グイグイと物語に引き込んでくれる。どういう物語かわからないところで、どうしよう、とか思っていた部分はあるが、読み始めればそういうのが気にならずに物語に集中することが出来た。
ただ、逆に言えば、金融小説とか、そういうものを期待している人には肩透かしな印象になるのではないかと思う。また、沢谷の狙いが、株を狙って…というのはわかるが、実際、その策略が上手く行く保障がどうにも見えないのが気になった(実際、最終的に失敗になるわけだが、序盤から成功する、と考えづらい。つまり、達郎を動かすための駒と感じられてしまう)
達郎の成長、みたいなところは悪くなかっただけに、もう少し敵役である沢谷の描写、行動がしっかりしていてくれれば、よりよかったと思うのだが…。

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2008/06/14 (Sat) 17:07
(書評)ホテルジューシー

著者:坂木司

ホテルジューシーホテルジューシー
(2007/09)
坂木 司

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幼い頃から、兄弟の面倒を見て育ってきた浩美。初めて、自由になる大学2年の夏休み。時間をもてあました彼女は、石垣島のホテルで住み込みのバイトをすることに。ところが、ひょんなことから、那覇のホテルジューシーに移籍することになってしまって…。
シンデレラ・ティース』の主人公・サキの友人、浩美の物語であり、姉妹作ともいえる作品。とは言え、ハチのマークの宅急便とか、随所に「坂木ワールド」のリンクはあるのだけど。
『シンデレラ・ティース』もそうだけど、本作に関しても、一応のミステリとしての謎があり、謎解きがある、という格好は取っている。でも、この作品に関しても、謎解き、というところに主眼はなく、どちらかと言えば、そういう中での浩美の成長、と言う部分に焦点が当てられる。
冒頭のところにも書いたけれども、幼い頃から手伝いなどをこなした浩美は、どちらかと言えば「しっかり者」。家事などはしっかりとこなせるし、色々なことも知っている。そして、そんな状態なので、ある意味ではおせっかいであり、ズボラだったりする人を見ると何かしたくなってしまう。けれども…と…。
今作の(一応の)探偵役は、オーナー代理。「不眠症」と言い、昼は極めてズボラな人間。夜はしっかりしている…というのだけど、その口調のせいか、夜も「しっかり」と言う印象がないのは何故だろう?(笑) ただ、そんなノンビリとしたオーナー代理を初めとした現地の人々と浩美の温度差、けれども、しっかりと横たわる経済状況と言ったものが実に印象深い。
しかし、なんか、浩美の苦労、判る気がするなぁ…うん(笑)

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2008/06/10 (Tue) 19:00
(書評)なぜ日本人は学ばなくなったのか

著者:斎藤孝

なぜ日本人は学ばなくなったのか (講談社現代新書 1943) (講談社現代新書 1943)なぜ日本人は学ばなくなったのか (講談社現代新書 1943) (講談社現代新書 1943)
(2008/05/20)
齋藤 孝

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OECDの調査で、日本の学力順位は低下している。これは、日本人全体が学ばなくなってきた証左である。その原因は、戦後のアメリカ化、そして、バブル経済とその後の動向により、「リスペクト」の精神がなくなったからである。…というのが、本書の論。
私が斎藤孝氏の著書を読むのは『教育力』に続いて2冊目なのだが…やっぱり、どうも納得できない、と言うところが残る。何が、と言えば、全体を通して、根拠に乏しく、著者の経験論などを中心に「昔はこうだったのです」と言うものばかりなのである。著者が認めるように、「リスペクトの精神を客観的・統計的に示すのは難しい」だろう。ならば、なおさら様々なものを出していく必要があると思うのだが…。
例えば、著者は読書離れは知への好奇心の減退、と言う。勿論、活字離れが起きている、と言う前提である。が、そこで示す資料は2つ。まずは、読売新聞で1ヶ月に1冊も読まなかった人が51,5%いた、と言う調査結果が出た、と言うこと。そして、東大生の蔵書数が減少している、と言う2つを出す。ただ、この前者に関しては、時系列調査がない。つまり、以前との比較がないのである。例えば、同様の調査では、全国学校図書館協議会の調査があるが(小学生から高校生の1ヶ月の読書量を調査したもの)、これによれば、著者が高校生であった70年代後半の高校生も45%近くが1冊も読んでおらず、90年代半ばに60%台になったことはあるが、全体を通しては45〜55%くらいで推移していることがわかる。小中学生に関しては、近年の読書運動などもあってか、はっきりと「本を読む」ようになっていることが示される。読む本の内容などは別として、本を読まなくなった、と言う著者の主張に疑問が浮かぶ。また、東大生の蔵書量に関しては、教科書など読み捨ての本を含めて100冊以下の率が増加したことを根拠に挙げるが、辞書や専門資料の電子化など、他の要因も考えられるのではないだろうか? そもそも、読書=教養への意欲、と言う見方そのものはどの程度正しいのだろうか? そこもちょっと疑問に思うところである。
また、昔の日本人は、学ぶ意欲があった、リスペクトの精神があった、というのを福澤諭吉、夏目漱石…などなどの文章・資料から訴えるのだが、彼らを日本人一般に当てはめられるのだろうか? 著者の父が、学生ではなかったが、神保町で同世代の学生が読んだために哲学書などを読んだ、などと言うのを「一般人にも影響を与えた」例とされても「うーん…」となってしまう。
また、それを社会に安易に適応しているのでは? と思うところも気になる。会社が労働者を使い捨てにするなどの問題を指摘しているものの、「若者のメンタルも弱くなっているから、すぐに会社をやめてしまい、フリーターなどになる」と言うのはどうなのか? さらに05年の衆院選での自民党圧勝について、「若者が支持をした」「若者にとって不利なのに、自民を支持したのは教養がないから」と言うなど、首をかしげる部分も多い(05年の衆院選に関しては、まず小選挙区制、と言う選挙制度そのものによる部分が大きい)
アメリカ文化は、教養に「NO」と言う文化で、それを取り入れたことが日本の学びへの意欲低下になった…という辺りについても、もう少し論考が欲しいと思うし…どうも、全体を通して納得しがたい部分が多かった。

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2008/05/31 (Sat) 16:32
(書評)キサトア

著者:小路幸也

キサトアキサトア
(2006/06)
小路 幸也

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父と、双子の妹と共に暮らす少年・アーチ。母は亡くなってしまったし、妹たちは、奇妙な病気を抱えている。アーチ自身も、色がわからない。けれども、皆、親切にしてくれるし、幸せだ。海辺の町での物語…。
結構、文字自体が大きく、ちょっとした感じにもルビが振ってある、などと言うところからも、小さな子供にも、と言う配慮がされているのだと思う。実際、読んで欲しいな、と思う。
物語の舞台自体がちょっと変わっている。風や水と言った自然の力について熟知する「エキスパート」と言う存在。それがアーチの父・フウガの仕事。そして、日の出と共に目覚め、日の入りと共に眠るキサと、逆のトアと言う姉妹。ものづくりが特異なアーチ。そんな特殊な世界観・接待の中で起こる事件と、それに対するアーチたち子供たちが生き生きと描かれている。そして、優しい世界観。
ただ、優しい世界観ではあるのだけれども、ただ優しい、甘い、と言うだけじゃない辺りのバランスが何よりも良い。フウガの行った工事によって魚が取れなくなったという漁師たちの怒り。アーチの作品を盗んだもの。結果、ちょっと前までは喜んでいた人々が反対に傾く。そんな人間の、大人の汚さ、みたいなものもしっかりと描かれ、それでも負けない子供たちがより輝いている。
全てが上手く行っているわけじゃない。解決しないままのものもある。けれども、元気いっぱい。そんな力強さを感じさせてくれる作品。好きだな、こういう作品。

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2008/05/30 (Fri) 18:25
(書評)暴風ガールズファイト2

著者:佐々原史緒

暴風ガールズファイト 2 (ファミ通文庫 (さ3-5-2))暴風ガールズファイト 2 (ファミ通文庫 (さ3-5-2))
(2007/12/25)
佐々原 史緒

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中間試験後の小テスト。だが、五十嵐の態度はソワソワ。いや、ラクロス部全員が。そう、ユニフォームの到着が今日。新しいユニフォームで、メンバーが…と思いきや相変わらず現れない。そして、秋の大会に向けた夏合宿のためにも、正式な部に昇格する必要があって…
思いっきり体育会系だな〜(笑)
前巻で、一応の形は出来たものの、まだまだ人数不足のラクロス部。今回もメンバー探しから始まり、夏合宿、そして、秋の大会へ…。4つの章で、メンバー探し2章、夏合宿、大会…と言う形になっていて、ある意味じゃ、駆け足気味かな? と言う風に感じるかもしれないけど、それぞれがちゃんと話としてまとまっていてそういうのを感じずに読めたのは良い感じ。
あとがきで著者が「書き分けが大変」という風に言っているわけだけど、確かにそうだろうな。1チーム12人というメンバー。今回が終わっても、それだけしかいないんだけど、普通の作品で考えれば十分な人数。そして、それぞれが試合やら何やらで行くわけだから。その苦労の甲斐がある、というか、しっかり全員のキャラクターが立っていてお見事。
前半2章は、前巻同様のメンバー集め。級長、相変わらず黒いよ(笑) お約束の夏合宿辺りも楽しいのだけれども、やっぱり最後の試合が熱い。完全に舐めて掛かった古豪との試合、そして、全国トップクラスとの試合。「大砲を乗せた筏」と言うチーム事情が目の当たりになり、けれども、それを乗り越える。そして、次の目標へ…。思いっきり「ベタな」スポ根モノなんだけど、それが良い。
なんか、これで一つ、物語がまとめられてしまった感じはあるんだけど、まだまだ先を期待したい。

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2008/05/28 (Wed) 23:10
(書評)越境捜査

著者:笹本稜平

越境捜査越境捜査
(2007/08)
笹本 稜平

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14年前の12億円詐欺事件。容疑者である森脇は、他殺体となり、神奈川の海に浮かぶ。事件は警視庁と神奈川県警の対立もあって、迷宮入りし、12億円も闇の中…。偶然、その事件の捜査を始めた刑事・鷺沼は、何者かの襲撃を受ける…。
タイトルだけだと、どういうものなのか、という部分もあるんだけど、物語としては警察内部での派閥争い、裏金…などというものが絡んだ警察小説。
いきなりの襲撃、不良刑事である宮野の接近に、鷺沼が恩師と慕う韮沢からの依頼から始まり、いきなり感じる違和感。誰が味方で誰が敵なのか? 手探り状態から始まり、エスカレートしていく妨害に対する怒りに、12億円という欲望。それらがテンポよく描かれていくだけになかなか面白く読めた。
ただ、その妨害工作、後半はエスカレートのし過ぎのような…。そこまで行くのも、鷺沼が折れないから敵も引っ込みがつかなくなって…という捉え方はできるのだけれども、さすがにここまで来ればもみ消せないはず。しかも、冒頭の襲撃などは明らかに薮蛇にしかなっていない。この辺り、ちょっと気になった。
ただ、全体を通して考えれば十分に楽しめた。

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