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2008/04/25 (Fri) 18:01
(書評)けんぷファー5

著者:築地俊彦

けんぷファー 5 (5) (MF文庫 J つ 2-5)けんぷファー 5 (5) (MF文庫 J つ 2-5)
(2007/09)
築地 俊彦

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水琴にケンプファーであること、女性化することを明かしたナツル。赤と青という状況でありながら休戦状態のまま、皆で(ナツルは女性の姿で)楓の家でのお泊り回。思惑渦巻くその夜に…
なんか、凄い急展開。
相変わらずナツルの鈍感さは際立っているし、楓の魅力はわからないし…っていうところはあるんだけど、ここまでの謎がかなり明かされ、そして、一気に展開したからなぁ…。確かに、ナツルの存在は中でも異質ではあるし、ここまで出てこなかった新たなる存在の登場…と、相当に大事な話ではあるんだよね。そして、そうなればなるほど、楓の存在が疑わしくなっていく…という辺りも。
でも…やっぱり、ナツルの鈍さにイライラする(笑) これだけのハーレム状態を作り出しながら、一切、本人に自覚がなく、なおかつ、周囲をバッタバッタと切り捨てていく展開はある意味、斬新。これもある意味、凄いよな。なんか、急展開にも関わらず、そちらがメインに思えてしまうのは何故だろう?
と、同時に、変身後の紅音さん…やたらマニアックかつ、危険なことを口走りすぎだと思います。

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2008/04/22 (Tue) 15:08
(書評)逆説探偵 13人の申し分なき重罪人

著者:鳥飼否宇

逆説探偵―13人の申し分なき重罪人逆説探偵―13人の申し分なき重罪人
(2005/08)
鳥飼 否宇

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人口の割に犯罪の多い綾鹿市。そんな市の治安を守る刑事の五龍神田には、特殊な情報源がある。その情報源は、中央公園に十年以上いるホームレスのたっちゃんと新入りホームレスのじっとく。たっちゃんの情報と、じっとくの一言で事件の真相が見えてくるのだが…。
という連作短編集。
変な言い方だが、読んでいて思った最初の感想は「案外、ふつ〜」ってことだったり。
いや、結構、事件そのものはツッコミどころの多い「脱力系」のオチのものはあるし、また、じっとくからのヒントを受けての推理が物凄いぶっとんだ方向になってしまったり…と、そういうものは多いのだけれども、それでも、鳥飼氏の別作品、例えば、『痙攣的』の凄まじいまでにぶっ飛んだ展開や、『昆虫探偵』のような設定そのものが極めて特殊な作品世界を予測して身構えていただけに、多少、拍子抜けした部分がある。とは言え、普通の作品からすれば、十分にぶっ飛んでいるんだろうけど。
物語としては、良い意味で「ワンパターン」を踏襲している。事件が発生し、それに当たる刑事の五龍神田(これで苗字)。事件の捜査をする上でホームレスのたっちゃんらにも聞き込みに行く。そして、そこでの情報、じっとくの一言に天啓を受けて…と。ただし、そのままストレートに行かないことも多く、微妙にずれていたり、と、そういう部分の楽しさはある。
これは…鳥飼氏の作品をどの程度、読みなれているか、にもよるのかも知れない。あまりに意識し過ぎると、「あれ?」という感じだろうし…そういう意味じゃ、鳥飼氏初心者向け…なのかな? (よくよく考えると、ちょっと意味不明なまとめだが)

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2008/04/18 (Fri) 15:47
(書評)とらドラ7!

著者:竹宮ゆゆこ

とらドラ 7 (7) (電撃文庫 た 20-10)とらドラ 7 (7) (電撃文庫 た 20-10)
(2008/04/10)
竹宮 ゆゆこ

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大河の停学もとけ、学校は間もなく期末試験、そして、クリスマス。生徒会長となった北村の提案でクリスマスパーティーが開催されることになる中、大河は「いいこ」宣言を行う。一方、実乃梨は…。
なーんか…ふと思えば、すっかり「主夫」キャラとして、クラス中に定着してるのな、竜児ってば。というか、大河のドジっ娘属性のほうも、だけどさ。少なくとも、「恐怖の二人」からはすでに脱却できてない? 本編と直接関係はないかも知れないが、そんなことをふと思った。
で、その本編の方だけれども…なんていうか…ようやくここまで来たか、という変な感慨があるんだけど。
大河の停学中、ロクに話が出来なかった竜児と実乃梨。そして、停学があけた後も、二人はすれ違いを繰り返す。そんな竜児と実乃梨の間を「いいこ」として取り持とうとする大河と、そこにある違和感。そして、大河と北村を…というところで竜児が感じる違和感。
これまでの物語の中でもずっと内包していたもの、と言えば、それは確かなんだよね。そして、ようやく表面化しただけ、と言うか…。第1巻で大河と竜児が二人で協力して…というところからずっと抱えていたわけだから。勿論、そういう状況を含みながら、新学年の開始から、クリスマスへ…と、ずっと引っ張ってきたからこそ、ここまでにっちもさっちも行かないところへ持ってこれたのかも、というのはある。積み重ねの結果、とでも言うか…。
物語のこれまで何とか持ちこたえてきた楼閣が崩れ去った状況。物語のクライマックスは近い…のかな?(でも、アニメ化ってことで、そこまでは引っ張りそうだな)

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2008/04/02 (Wed) 19:09
(書評)姫宮さんの中の人4

著者:月見草平

姫宮さんの中の人 (4) (MF文庫J (つ-01-11))姫宮さんの中の人 (4) (MF文庫J (つ-01-11))
(2008/03)
月見 草平

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副会長の家での事件も何とか回避し、学園は文化祭、そして、生徒会長選挙へ。純人は生徒会長選挙への準備に追われつつも、ちとせの訓練は続く。その結果、少しずつ外へ出るようにもなってきた。そんなとき、ちとせ(中)は演劇に出演しないか誘われ…。
うん…要垣内家ってすげーな。何、あの英才教育っぷりは(笑) …と、いきなり巻末のオマケ小説ネタで行ってみる。
物語としては、純人の三股っぷりを描いた話、といえるんだろうな。サラりと霞を1日目、結衣を2日目、一緒に文化祭めぐりに誘い、その一方でちとせを…っていう辺りに天然ジゴロっぷりが光るね。本人には全く自覚がないんだろうけど。
と言いながら、ちとせの中の人は着実に成長している、とでも言うか…。何だかんだで、外に出られるようになってきたし、最後の演劇の部分もね。そして、逃げ出したちとせの説得とかもよかったし。
まぁ、三股の決着、って部分はあるけど、そろそろ物語も終着点に向かっている、ってところかな? 霞のところのボスとかも出てきたし…。

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2008/03/28 (Fri) 22:00
(書評)QED 龍馬暗殺

著者:高田崇史

QED〈龍馬暗殺〉 (講談社文庫 た 88-12)QED〈龍馬暗殺〉 (講談社文庫 た 88-12)
(2007/03/15)
高田 崇史

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学会への出席をかねて、坂本龍馬ファンの妹・沙織と共に高知へやってきた奈々。大学時代の友人の実家がある、山奥の村へ赴く奈々だったが、四国を襲った豪雨の影響で村へ閉じ込められてしまう。そして、そこには何故か嵩もいて…。
QEDシリーズ第7弾。うーん…なんか、色んな意味で凄い作品になってしまっているような…。
タイトルの通り、今回のテーマは幕末の英雄・坂本龍馬。作中でも触れられているけど、高知=坂本龍馬、になってしまい、空港もいまや「竜馬空港」。そんな坂本龍馬の生涯、そして、最大の謎である彼の暗殺…に話題が移る。勿論、今回も殺人事件が。
土佐藩の下級武士の家に生まれた龍馬。薩長同盟を成立させ、それが倒幕の大いなる原動力になった。しかし、実際には、その存在が当時の人々に知られていたわけではなく、彼の名が知られたのは遥か後になってのこと。また、その死に付いても、様々な憶測はあっても謎だらけ…。そういう辺りは確かに面白い。
…のだけれども、本作は、これまで以上に緊迫感がない。これまでの作品でも、事件が起こっているのに、そっちのけで歴史の方を追いかけていたわけだけど、ある意味では、直接関係のないところでの話なのでわからなくもない。ところが、本作の場合、閉じ込められた村で、しかも僅か一晩のうちに次々と人が死ぬ、という文字通りに緊迫した設定になっている…はず。なのに、嵩や奈々、沙織と言った面々は延々と酒を飲みながら歴史談義に花を咲かせているだけ。さすがにこれはどーだろう?
また、落としどころについても、ちょっと微妙。事件の方は、「いつの時代?」っていう状態だし、暗殺の黒幕の方も、憶測に憶測を重ねたところでお茶を濁しているだけ、という印象。これで「QED」は不満かな?
うーん…ちょっとシリーズの中でも劣るかな、これは…。

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2008/03/26 (Wed) 16:53
(書評)ほおむステイ☆でい〜もん

著者:鯛津ゆうた

ほおむステイ☆でい~もン! (ファミ通文庫)ほおむステイ☆でい~もン! (ファミ通文庫)
(2007/01/29)
鯛津 裕太

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虫歯に苦しみ、目の前には怪我をした仔猫。そんな状況の修也は、道で出会った奇妙な壷から現れたセクシーな魔神・ペイモンの3つの願いの2つをソレに使う。そして、3つ目は、ペイモンに騙され、彼女の解放に…。けれども、ペイモンはそのことで新たな呪いがかかって、修也の側にいなければならなくなり…。
うーん…微妙。
物語としては、強大な力を持った利己的な魔神・ペイモンと、少年・修也が共に行動をすることになり、ペイモンが自分が真に解放されるため、修也の憧れの少女・綾奈とくっつけようとしてドタバタ…というコメディ。
利己的な魔神に引きずりまわされててんやわんや…っていうのは、定番で、それ自体は悪くないし、また、綾奈にも秘密があって、それを狙うヒロシ&ヤスオコンビが加わるっていうのも良いと思う。
思うんだけど…なんか、そういうのがあまり1本の話として繋がっていなくて、ちょっとバラバラに展開してしまっただけのように思う。特に後半の遊園地でのデートは、完全に2つの話が平行して、そのまま平行しただけのように思えてしまって残念。もうちょっと上手く、両者が関連付けられてほしかったのだが…。
繰り返しではあるけど、悪くはない。でも、何か、もうワンパンチほしいな、という風に感じた。

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2008/02/19 (Tue) 20:47
(書評)QED 竹取伝説

著者:高田崇史

QED 竹取伝説 (講談社文庫)QED 竹取伝説 (講談社文庫)
(2006/03/15)
高田 崇史

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新年会、崇らの語った陰陽師を絡めた昔話に続いたのは、様々な行事に纏わる話題。そして、「竹が光る」という「魔のカーブ」へ…。その頃、奈々の上司・外嶋は竹槍に刺されて死亡している男性を見つけ…
QEDシリーズの第6弾。物語としても、前作『式の密室』の続きからで、細かいところで関連性がつけられている。
今回のテーマは、竹取物語…と、そこに関連しての様々な行事とそこに纏わる「呪」「言霊」…。最短の前作とは対照的に、今作はかなりその部分が多い。
大和朝廷の拡大。支配、被支配の関係。権力争い。そして、その中で作られていく差別的な要素…。それは、現在に伝わる行事の中にも様々な形で反映していく…。(無論、全てが正しいわけではないのだろうが)その薀蓄の集大成として『竹取物語』の読み解きへと繋がっていく…。その辺りは、シリーズらしさが溢れる。
ただ、これまでのシリーズもそうだけど、今作はより、「殺人事件」との関連性が薄い。500頁あまりの文中、事件そのものを扱った部分は殆ど無いし、そもそも奈々、崇と言った面々は最後の最後まで事件と関わりすら持たない。そういう意味で、「歴史解釈と事件」のバランスが丁度良い感じた前作とは真逆で、ちょっとおざなりか? と思わずにはいられなかった。まぁ、これまでのシリーズでも、そういう面はあったわけだけど。
まぁ、シリーズの安定感はそのまま持っていると思うけど。

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2008/02/02 (Sat) 01:49
(書評)当確への布石

著者:高山聖史

当確への布石当確への布石
(2007/06)
高山 聖史

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セクハラ問題による現職議員失職に伴う衆議院補欠選挙。大学准教授であり、犯罪被害者支援運動家でもある大原奈津子は、出馬を表明する。その矢先に届いた謎の団体から「支持する」との文章。奈津子は、元公安捜査員である平澤に、差出人の調査を依頼する…
第5回『このミス』大賞優秀賞受賞作。
タイトルだけで明らかなように、テーマは選挙。補欠選に出馬した奈津子の選挙戦を中心に、怪文章、敏腕参謀の謎の動き、さらには刑法犯罪…と言ったものが動いていく…。
このテーマの作品と言うと、全く選挙を知らない素人が私設秘書となって奮闘する様を描いた『ダイスをころがせ!』(真保裕一著)を思い出すのだが、本作の場合、選挙制度であるとか、ルールであるとかはあまり描かれず、最初から活動の様子が中心となって描かれる。
本作の最大の成功要因は、主人公を知名度のある大学教員とした点だと思う。ずぶの素人が、全くの泡沫候補から勢力を強めていくのとは違い、有名人である奈津子は最初から勢いを持つ。しかし、ふとしたことで人気が急落し、しかし、またちょっとしたきっかけで急上昇する。そんな選挙における「風」の様子が生々しく描かれている。大臣経験者であるとか、そういう「大物議員」でも落選することがある選挙の怖さ、動きが肌身で感じられるのはお見事。
ただ、一方で欠点も多い。選挙の周囲で起こる事件は、あくまでも「付属」する部分なのだが、その調査をめぐる部分では殆ど選挙の空気感が感じられなくなってしまう。また、奈津子、平澤の両主人公の抱えている過去などはやたらにページを割いた割にあまり本編に関係ない。特に、平澤の家庭の事情はある事件の真相へたどり着くための行動の元以外の何者でもなく、「何だったの?」と言う状態。
「選挙モノとしては、国産ベスト級。けれども…」と言う選評が解説にあるが、全く同感。非常に「惜しい」作品だと思う。

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